阪南大学における研究活動上の不正行為の防止等に関する規程

第1章 総則

(目的)
第1条 この規程は、阪南大学(以下「本学」という。)における研究活動上の不正行為(以下「不正行為」という。)の防止及び不正行為が生じた場合における適正な対応について、必要な事項を定める。
2 公的研究費の不正使用に関しては、阪南大学における公的研究費の使用に係る不正行為の防止等に関する規程に従うものとする。

(定義)
第2条 この規程における不正行為とは、原則として本学研究者(本学専任教育職員及び産業経済研究所特定研究員)による研究倫理に著しく反する行為であって、かつ故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことに起因する次の各号に掲げる行為とする。ただし、本学研究者以外が行った不正行為に関しても、本学研究者が関係している場合(共著における不正行為等)は、この規程を準用する。
(1)捏造
存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
(2)改ざん
研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
(3)盗用
他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用すること。
(4)二重投稿
他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿すること。ただし、投稿先学術雑誌等の規定を満たし、二重投稿と解されない状態となったものは除く。
(5) 不適切なオーサーシップ
論文等、研究成果の発表物の著者となるための要件を満たさない者を著者として記載すること(ギフト・オーサーシップ)、著者としての要件を満たす者を著者として記載しないこと(ゴースト・オーサーシップ)、又は当人の承諾なしに著者に加えること。
(6)その他
前5号以外の研究活動上の不適切な行為であって、阪南大学研究倫理指針及び社会通念に照らして研究倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの。

(本学研究者の責務)
第3条 本学研究者は、不正行為やその他の不適切な行為を行ってはならず、また、他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2 本学研究者は、研究倫理及び研究活動に係る法令等に関する研修等を受講しなければならない。
3 本学研究者は、研究活動上の正当性の証明手段を確保するとともに、第三者による検証可能性を担保するため、研究記録、実験データその他の研究資料等を10年間、試料等は 5 年間適切に保存・管理し、開示の必要性及び相当性が認められる場合には、これを開示しなければならない。

第2章 運用体制

第1節 運用責任者と職務

(最高管理責任者)
第4条 学長は、研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関し、大学全体を統括する権限と責任を有する者として、公正な研究活動を推進するために適切な措置を講じる。また、不正に関する相談や告発の受付、調査の実施に関して責任を負う。

(部局責任者)
第5条 研究活動や研究費を扱う部局の長は、当該部局における研究倫理の向上及び不正行為の防止等に関する責任者として、公正な研究活動を推進するための適切な措置を講じる。

(研究倫理教育責任者及び研究倫理教育副責任者)
第6条 研究倫理教育に関する実質的な責任と権限を持つ者として、研究倫理教育責任者及び研究倫理教育副責任者を置く。
2 研究倫理教育責任者は、学長が指名する副学長とし、研究倫理教育副責任者は、各学部長及び大学院研究科長とする。
3 研究倫理教育責任者は、本学における研究倫理教育全般の実施に関する企画及び実施状況の管理監督を行うものとし、研究倫理教育副責任者は、当該学部に所属する研究者及び大学院生に対し、研究倫理に関する教育(研修)を定期的に実施する。

第2節 研究倫理委員会

(研究倫理委員会の設置)
第7条 本学に、不正行為を防止するため、以下の組織体制による研究倫理委員会(以下「倫理委員会」という。)を置く。
2 倫理委員会は、学長、副学長、各学部長、大学院研究科長、大学事務局長及び研究部長によって組織する。
3 委員長は、学長とする。
4 副委員長は、副学長(研究倫理教育責任者)とする。副委員長は、委員長を補佐し、委員長が欠けたとき又は委員長に事故があるときは、その職務を行う。
5 委員の任期は、当該役職の在任期間とする。

(倫理委員会の成立要件)
第8条 倫理委員会は、全構成員の 3 分の 2 以上が出席することをもって成立する。

(倫理委員会の職務及び議決)
第9条 倫理委員会は、次の各号に掲げる事項を行う。
(1) 研究倫理についての研修及び教育の企画及び実施に関する事項
(2) 研究倫理についての情報収集及び周知に関する事項
(3) 本学研究者の不正行為の調査に関する事項
(4) 研究倫理審査に関する事項
(5) その他研究倫理に関する事項
2 倫理委員会の議事は、出席委員の過半数によって決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
3 研究倫理審査に関する事項は、阪南大学研究倫理審査規程に定める。

第3章 告発の受付と取扱い

(告発等の受付窓口)
第10条 告発又は相談への迅速かつ適切な対応を行うため、学長室総務企画課に受付窓口を置く。

(告発の受付体制)
第11条 不正行為の疑いがあると思料する者は、何人も、書面、ファクシミリ、電子メール、電話又は面談により、受付窓口に対して告発を行うことができる。
2 告発は、顕名により、不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されていなければならない。
3 原則として、匿名による告発は、これを受け付けない。ただし、匿名であっても、前項に準じて具体的な内容の明示や不正とする合理的な理由が示されている場合は、速やかに学長に報告した上で、学長判断により顕名による告発に準じた取扱いができるものとする。
4 受付窓口は、告発を受け付けたときは、速やかに学長に報告し、学長は、部局責任者等にその内容を通知する。
5 受付窓口は、告発が郵便による場合など、当該告発等が受け付けられたかどうかについて告発者が知り得ない場合には、告発者に受け付けた旨を通知する。
6 新聞等の報道機関、研究者コミュニティ又はインターネット等により、不正行為の疑いが指摘された場合(不正行為を行ったとする研究者又は研究グループ等の氏名又は名称、不正行為の態様その他事案の内容が明示され、かつ、不正とする合理的理由が示されている場合に限る。)は、学長は、これを告発に準じて取り扱うことができる。

(告発の相談)
第12条 不正行為の疑いがあると思料する者で、告発の是非や手続について疑問がある者は、受付窓口に対して相談をすることができる。
2 告発の意思を明示しない相談があったときは、受付窓口は、その内容を確認して相当の理由があると認めたときは、相談者に対して告発の意思の有無を確認する。
3 相談の内容が、不正行為が疑われるものであるときは、受付窓口は、学長に報告する。
4 前項の報告があったときは、学長は、その内容を確認し、相当の理由があると認めたときは、その報告内容に関係する者に対して警告等を行う。

(受付窓口の職員の義務)
第13条 告発の受付に当たっては、受付窓口の職員は、告発者の秘密の遵守その他告発者の保護を徹底しなければならない。
2 受付窓口の職員は、告発を受け付けるに際し、面談による場合は個室にて実施し、書面、ファクシミリ、電子メール、電話等による場合はその内容を他の者が同時及び事後に見聞できないような措置を講ずるなど、適切な方法で実施しなければならない。
3 この条第1項及び第2項の規定は、告発の相談についても準用する。
4 受付窓口の職員は、自己との利害関係を持つ事案に関与してはならない。

(秘密保護義務)
第14条 この規程に定める当該事案業務に携わる全ての者(以下「業務関係者」という。)は、告発者、被告発者、告発内容、調査内容及び調査経過について、調査結果の公表に至るまで、告発者及び被告発者の意に反して外部に漏えいしないよう、これらの秘密の保持を徹底しなければならない。
2 学長は、当該告発に係る事案が外部に漏えいした場合は、告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず、調査事案について公に説明することができる。ただし、告発者又は被告発者の責に帰すべき事由により漏えいしたときは、当該者の了解は不要とする。
3 業務関係者は、告発者、被告発者、調査協力者又は事案関係者に連絡又は通知をするときは、告発者、被告発者、調査協力者及び事案関係者等の人権、名誉及びプライバシー等を侵害することのないように、配慮しなければならない。

(告発者の保護)
第15条 部局の責任者は、告発をしたことを理由とする当該告発者の職場環境の悪化や差別待遇が起きないようにするために、適切な措置を講じなければならない。
2 本学に所属する全ての者(以下「構成員」という。)は、告発をしたことを理由として、当該告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
3 学長は、告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、その者に対して警告等を行う。
4 構成員は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に当該告発者に対して不利益な措置等を行ってはならない。

(被告発者の保護)
第16条 構成員は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者に対して不利益な取扱いをしてはならない。
2 学長は、相当な理由なしに、被告発者に対して不利益な取扱いを行った者がいた場合は、その者に対して警告等を行う。
3 構成員は、単に告発がなされたことのみをもって、当該被告発者の研究活動の禁止その他当該被告発者に不利益な措置等を行ってはならない。

(悪意に基づく告発)
第17条 何人も、悪意に基づく告発を行ってはならない。本規程において、悪意に基づく告発とは、被告発者を陥れるため又は被告発者の研究を妨害するため等、専ら被告発者に何らかの不利益を与えること又は被告発者が所属する組織等に不利益を与えることを目的とする告発をいう。
2 学長は、悪意に基づく告発であったことが判明した場合は、当該告発者の氏名の公表、懲戒処分、刑事告発その他必要な措置を講じることができる。

第4章 調査

第1節 予備調査

(予備調査の実施)
第18条 第11条に基づく告発があった場合又は学長がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は、学長は予備調査委員会を設置し、予備調査委員会は速やかに予備調査を実施しなければならない。
2 予備調査委員会は、3名の委員によって構成するものとし、学長が倫理委員会の議を経て指名する。ただし、委員の指名に当たっては、委員が利害関係を持つ事案に関与しないように配慮しなければならない。
3 予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4 予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験資料等を保全する措置をとることができる。

(予備調査の方法)
第19条 予備調査委員会は、告発された行為が行われた可能性、告発の際に示された科学的理由の論理性、告発内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について、予備調査を行う。
2 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯及び事情を含め、不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断する。

第2節 本調査

(本調査の決定等)
第20条 予備調査委員会は、告発を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を倫理委員会に報告する。
2 倫理委員会は、予備調査結果を踏まえ、協議の上、直ちに本調査を行うか否かを決定する。
3 倫理委員会は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。 被告発者が協力を拒んだ場合は、学長は被告発者の研究活動停止を命じ、本調査に移行することができる。
4 倫理委員会は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知する。この場合には、資金配分機関や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存する。
5 倫理委員会は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案に係る研究費等の配分機関等及び文部科学省に、本調査を行う旨を通知する。

(調査委員会の設置及び議決)
第21条 倫理委員会は、本調査を実施することを決定したときは、同時に、その議決により調査委員会を設置する。
2 調査委員会の委員は、次の各号に掲げる者とする。ただし、当該者が利害関係を持つ事案に関与する場合は、委員とはなれない。学長又は副学長が委員となれない場合は、当該事案に利害関係を持たない学部長を、委員として補充する。
(1)学長(委員長)
(2)副学長 2名
(3)学長が倫理委員会の議を経て指名した外部有識者 若干名
(4)法律の知識を有する外部有識者 若干名
3 前項による委員の過半数は、本学に属さない外部有識者等でなければならない。
4 調査委員会は、全構成員の 3 分の 2 以上が出席することをもって成立する。
5 調査委員会の議事は、出席委員の過半数によって決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

(本調査の通知)
第22条 倫理委員会は、調査委員会を設置したとき、調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。
2 前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、倫理委員会に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3 倫理委員会は、前項の異議申立てがあった場合、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知する。

(本調査の実施)
第23条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始する。
2 調査委員会は、告発者及び被告発者に対し、直ちに本調査を行うことを通知し、調査への協力を求める。
3 調査委員会は、告発において指摘された当該研究に係る論文、実験・観察ノート、生データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により、本調査を行う。
4 調査委員会は、被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
5 調査委員会は、被告発者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被告発者から再実験等の申出があり、調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障する。
6 告発者、被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるなど、調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
7 前項による調査活動に際して、被告発者が関係資料の隠蔽、破棄、改ざん等を行ったとき又は調査妨害等の行為に及んだ場合は、学長は直ちに理事長に報告し、就業規則に基づいた懲戒処分の対象とすることができる。

(本調査の対象)
第24条 本調査の対象は、告発された事案に係る研究活動の他、調査委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。

(証拠の保全)
第25条 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとる。
2 他機関で告発され、調査対象となった事案に関しても、当該調査機関から本学に対する要請が行われた場合は、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとる。

(調査における研究又は技術上の情報の保護)
第26条 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう、十分配慮する。

(不正行為の疑惑への説明責任)
第27条 調査委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続に則って行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
2 前項の場合において、再実験等を必要とするときは、第22条第5項の定める保障を与えなければならない。

第5章 認定

第1節 認定手続

(認定の手続)
第28条 調査委員会は、本調査を開始した日から起算して150日以内に調査した内容をまとめ、不正行為が行われたか否か、不正行為と認定された場合はその内容及び悪質性、不正行為に関与した者とその関与の度合、不正行為と認定された研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割、その他必要な事項を認定する。
2 前項に掲げる期間につき、150日以内に認定を行うことができない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定の予定日を付して学長に申し出て、その承認を得る。
3 調査委員会は、不正行為が行われなかったと認定される場合において、調査を通じて告発が悪意に基づくものであると判断したときは、併せて、その旨の認定を行う。
4 前項の認定を行うに当たっては、告発者に弁明の機会を与えなければならない。
5 学長は、この条1項及び3項に定める認定が終了したときは、直ちに、理事長に報告しなければならない。

(認定の方法)
第29条 調査委員会は、告発者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して、不正行為か否かの認定を行う。
2 調査委員会は、被告発者による自認を唯一の証拠として不正行為を認定することはできない。
3 調査委員会は、被告発者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為と認定することができる。保存義務期間の範囲に属する生データ、研究記録及び関係書類等の不存在等、本来存在すべき基本的な要素が不足していることにより、被告発者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも、同様とする。

(調査結果の通知及び報告)
第30条 学長は、速やかに、調査結果(認定を含む)を告発者、被告発者及び被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者に通知する。被告発者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。
2 学長は、前項の通知に加えて、調査結果を当該事案に係る研究費等の配分機関等及び文部科学省に報告する。
3 学長は、悪意に基づく告発との認定があった場合において、告発者が本学以外の機関に所属しているときは、当該所属機関にも通知する。

第2節 不服申立てと再調査

(不服申立て)
第31条 不正行為が行われたものと認定された被告発者は、通知を受けた日から起算して14日以内に、調査委員会に対して不服申立てをすることができる。ただし、その期間内であっても、同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2 告発が悪意に基づくものと認定された告発者(被告発者の不服申立ての審議の段階で悪意に基づく告発と認定された者を含む。)は、その認定について、前項の例により、不服申立てをすることができる。
3 不服申立ての審査は、調査委員会が行う。学長は、新たに専門性を要する判断が必要となる場合は、調査委員の交代若しくは追加、又は調査委員会に代えて他の者に審査をさせるものとする。ただし、調査委員会の構成の変更等を行う相当の理由がないと認めるときは、この限りでない。
4 前項に定める新たな調査委員は、第20条第2項及び第3項に準じて指名する。
5 学長は、当該事案の再調査を行うまでもなく、不服申立てを却下すべきものと決定した場合には、直ちに、理事長に報告する。
6 学長は、不服申立人に対し、その決定を通知する。その際、その不服申立てが当該事案の引き延ばしや認定に伴う各措置の先送りを主な目的とするものと調査委員会が判断した場合は、以後の不服申立てを受け付けないことを併せて通知する。
7 学長は、不服申立てに対して再調査を行う旨を決定した場合には、直ちに、理事長に報告するとともに、不服申立人に対し、その決定を通知する。
8 学長は、被告発者から不服申立てがあったときは告発者に対して通知し、告発者から不服申立てがあったときは被告発者に対して通知する。また、当該事案に係る研究費等の配分機関等及び文部科学省に報告する。不服申立ての却下又は再調査開始の決定をしたときも同様とする。

(再調査)
第32条 前条に基づく不服申立てについて、再調査を実施する決定をした場合には、調査委員会は、不服申立人に対し、先の調査結果を覆すに足るものと不服申立人が思料する資料の提出を求め、その他当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求める。
2 前項に定める不服申立人からの協力が得られない場合には、調査委員会は、再調査を行うことなく手続を打ち切ることができる。その場合には、委員長は、直ちに理事長に報告するとともに、不服申立人に対し、その決定を通知する。
3 調査委員会は、再調査を開始した場合には、その開始の日から起算して50日以内に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、その結果を直ちに理事長に報告する。ただし、50日以内に調査結果を覆すか否かの決定ができない合理的な理由がある場合は、その理由及び決定予定日を付して理事長に申し出て、その承認を得る。
4 学長は、この条2項又は3項の報告に基づき、速やかに再調査手続の結果を告発者、被告発者及び被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者に通知する。被告発者が本学以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。また、当該事案に係る研究費等の配分機関等及び文部科学省に報告する。

第3節 結果の公表及び措置

(調査結果の公表)
第33条 学長は、不正行為が行われたとの認定がなされた場合には、速やかに調査結果を公表する。
2 前項の公表における公表内容は、不正行為に関与した者の氏名・所属、不正行為の内容、本学が公表時までに行った措置の内容、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含む。
3 前項の規定にかかわらず、不正行為があったと認定された論文等が、告発がなされる前に取り下げられていたときは、当該不正行為に関与した者の氏名・所属を公表しないことができる。
4 不正行為が行われなかったとの認定がなされた場合には、調査結果を公表しないことができる。ただし、被告発者の名誉を回復する必要があると認められる場合、調査事案が外部に漏えいしていた場合又は論文等に故意若しくは研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものでない誤りがあった場合は、調査結果を公表する。
5 前項のただし書の公表における公表内容は、不正行為がなかったこと、論文等に故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものではない誤りがあったこと、被告発者の氏名・所属、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を含む。
6 学長は、悪意に基づく告発が行われたとの認定がなされた場合には、告発者の氏名・所属、悪意に基づく告発と認定した理由、調査委員会委員の氏名・所属、調査の方法・手順等を公表する。

(本調査中における一時的措置)
第34条 学長は、本調査を行うことを決定したときから調査委員会の調査結果の報告を受けるまでの間、被告発者に対して告発された研究費の一時的な支出停止等の必要な措置を講じることができる。

(研究費の使用中止)
第35条 学長は、不正行為に関与したと認定された者、不正行為が認定された論文等の内容に重大な責任を負う者として認定された者、及び研究費の全部又は一部について使用上の責任を負う者として認定された者(以下「被認定者」という。)に対して、直ちに研究費の使用中止を命ずる。

(論文等の取下げ等の勧告)
第36条 学長は、被認定者に対して、不正行為と認定された論文等の取下げ、訂正又はその他の措置を勧告する。
2 被認定者は、前項の勧告を受けた日から起算して14日以内に勧告に応ずるか否かの意思表示を学長に行わなければならない。
3 学長は、被認定者が第1項の勧告に応じない場合は、その事実を公表する。

(措置の解除等)
第37条 学長は、不正行為が行われなかったものと認定された場合は、本調査に際してとった研究費の支出停止等の措置を解除する。また、証拠保全の措置については、不服申立てがないまま申立期間が経過した後又は不服申立ての審査結果が確定した後、速やかに解除する。
2 学長は、不正行為を行わなかったと認定された者の名誉を回復する措置及び不利益が生じないための措置を講じる。

第6章 処分と是正措置

(処分)
第38条 本調査の結果、本学研究者により不正行為が行われたものと認定された場合は、就業規則第48条並びに第49条に基づいた懲戒処分の対象となる。
2 悪意に基づく告発として認定された当該告発者に関しても、前項に従って懲戒処分の対象となる。

(是正措置等)
第39条 本調査の結果、研究活動上の不正行為が行われたものと認定された場合には、学長は、必要に応じて、速やかに是正措置、再発防止措置、その他必要な環境整備措置(以下「是正措置等」という。)をとるものとする。
2 学長は、関係する部局の責任者に対し、是正措置等をとることを命ずることができる。
3 学長は、第 1 項及び第 2 項に基づいてとった是正措置等の内容を該当する資金配分機関等及び文部科学省に対して報告するものとする。

第7章 補則

(事務)
第40条 この規程に関する事務は、研究部学術情報課が行う。ただし、告発等への対応、調査及び懲戒処分等に関する事務は、学長室総務企画課が行う。

(雑則)
第41条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は学長が定める。

(改廃)
第42条 この規程の改廃は、評議会の議を経て学長が行う。

附 則(平成27年11月9日)
この規程は、平成27年11月9日から施行する。
附 則(令和3年3月25日)
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和3年12月17日)
この規程は、令和3年12月17日から施行する。