町内の観光資源をくまなく調査しました

 森重ゼミでは、9月5~7日の3日間、岡山県美咲町で現地調査を実施しました。前回の報告にもあげたように、2度目の現地調査を実施するにあたり、事前にゼミ生で議論し、観光振興に向けた4つのテーマを設定して臨みました。しかし、美咲町役場での聞き取り調査の結果、いくつかは実現が難しいことがわかりました。同時に、聞き取り調査の際に提供していただいた資料の中に観光マップがあったのですが、10年以上前に作成されたもので、内容が更新されていないこともわかりました。
 そこで、聞き取り調査終了後にゼミ生で話し合い、実現が難しいテーマについては再検討することとし、1度目の現地調査で調べられなかった観光資源を徹底的に調査することにしました。2日目以降はテーマを深めるグループと資源を調査するグループに分かれましたが、後者のグループは案内看板がなかったり、アクセスが悪かったりするなど、いずれも観光資源を見つけ出すことに苦労していました。以下で、観光資源を調査したゼミ生の報告を紹介します。
 今回の現地調査にあたり、美咲町役場の皆さまや観光資源を見つけるためにご協力くださった町民の皆さまに大変お世話になりました。ここに記して、心より感謝申し上げます。(森重昌之)

当日の現地調査の様子

  • 知本館の碑での調査の様子

  • 鴻の滝に至る道中

  • ようやくたどり着けた鴻の滝にて

  • アーツ&クラフツビレッジでの調査の様子

  • 湯田八幡神社での調査の様子

  • 参加したゼミ生で記念撮影

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参加したゼミ生の報告

自然の町探索
 国際観光学部3年 福田英司

 2019年9月5~7日に岡山県美咲町の2回目のフィールドワークに行ってきました。前回のフィールドワークで調査した観光資源を評価し、観光資源を分類しました。そして、ゼミ内で4つのグループに分かれ、それぞれテーマを決めて観光資源をつなげていきました。各グループのテーマは「カフェ」、「ツーリング」、「林間学校」、「ペット」でした。私は「ペット」のグループで、動物を飼っている人向けに日常生活を離れてペットと一緒に楽しめる観光地として価値をつくり出そうと考えました。
 9月5日に美咲町役場の方が時間をつくってくださったので、その時に聞くことも考えていました。しかし、実際に話をうかがってみると、ペットを連れて行ける場所が「牧場の館」しかなく、バーベキュー場やキャンプ場がないとのことでした。そのため、ペット連れの観光は難しいと判断しました。4つのグループのうち、カフェグループ以外は同じように難しいので、諦めました。しかし、聞き取り調査で美咲町の観光マップが10年以上前につくられたものだと知ったので、新しい観光マップを考えることにしました。
 そこで、「カフェ」が時間内に1つのグループだけでは周ることができないので、2つのグループでカフェを調査することにしました。残りの2つのグループは、現在の観光マップに載っている観光資源のうち、1回目に調査していない場所が多かったので、調査しきれなかった観光資源を調査しました。合計で19か所あり、半分に分けて2、3日目を使いました。私たちが調査した場所のほとんどが、マップに載っているにもかかわらず、住所がわからず、探すのに時間がかかってしまいました。その中には道が険しかったり、柵がつくられて入ることができない場所があったり、案内看板がなく、何度も地元の方に助けていただきました。加えて駐車場がないなど、観光客を受け入れる態勢が整っていないと思いました。
 その中でも、上山宮は駐車場と看板こそあったものの、アクセスが非常に悪かったです。クルマ1台がやっと通れるような細い道を何kmも進んだ先にありました。最初の看板を見つけてから10分以上進んでも上山宮が見つからず、道も細く、いつ行き止まりになるかわからないといった心配もあるので、看板には残りの距離がわかるよう距離を書くべきと思いました。上山宮そのものは綺麗で、迫力もあり、山の中にあるので、自然を感じながら参拝でき、気持ちも良かったです。
 もう一つ印象に残った場所は、ハイポキマインです。道はわかりやすく、駐車場も広めでした。ここは昔坑道であった場所を低酸素トレーニング走路としたところです。トレーニング走路以外に、キノコ類の栽培もしていました。実際に中に入ることはできませんでしたが、中から吹く風が涼しく、入ってみたいと思いました。予約すれば入れるようですので、一般公開すると利用者が増えると思いました。

あきらめないで最後まで頑張り抜くこと
 国際観光学部3年 鐘雪蓉

 今回、さらなる調査のために、2泊3日の美咲町現場調査を再度実施しました。今回のフィールドワークを通して、私はいろいろなことを学びました。それらを紹介したいと思います。
 最初に、ゼミでは「静かな町の景色巡り」、「地元の人と交流できるカフェ巡り」、「自然体験を目的とした林間学校」、「動物と一緒に楽しめる旅行」という4つのテーマでグループに分かれ、調査する予定でした。しかし、現場に行って、町役場の方のお話をうかがった後、それらのテーマを実現することは難しいとわかりました。そこで、私たちは改めてテーマを検討することにしました。私たちは町役場の聞き取り調査で観光マップをいただきましたが、そのマップは10年以上も更新されていないそうです。私たちは自分の力でその古いマップを更新することに調査内容を変更しました。
 その後、私たちは2組に分かれ、1回目の調査で行かなかった場所を調査しました。その中で、私が特に取り上げて紹介したいのは、「鴻の滝」と「知本館の碑」です。「鴻の滝」は栗子山の南麓を流れる杉谷川中流にあり、二段に折れて流下する滝です。私たちは調査の2日目に鴻の滝に行くつもりでしたが、場所がわかりませんでした。そこで、翌日の朝に宿泊施設の方に尋ねましたが、それでも場所がわかりません。最終的に、宿泊施設の方が支配人に電話してくださり、やっと鴻の滝の行き方がわかりました。その時、徒歩で15分ほどと言われましたが、30分歩いても到着しません。山の中で、どこに道があるのかさえ、よくわかりません。迷う可能性が高く、危ないので諦めようと思いました。しかし、ゼミ生の1人が「30分以上も歩いたのに、ここで諦めるのはもったいない」と言いました。それを聞いて、諦めずに探し続けることにしました。さらに山奥へ10分ほど歩くと、ようやく滝を見つけることができました。決して立派な滝ではありませんでしたが、諦めなかったという達成感もあり、その景色は素晴らしく感じました。
 その他に、私たちは「知本館の碑」も調査しました。そこには山田方谷先生の和歌を記した記念碑が保存されていました。山田方谷先生の独特の雰囲気が感じられました。
 今回の調査結果をもとに、ゼミで今後の取り組みを検討していきます。私は今回のフィールドワークからいろいろなことを学びました。特に、諦めないで最後までやり抜くことで達成感を味わえたことが、今回の最も大きな収穫です。今後の学習生活においても、それを忘れず、どのようなことに対しても諦めず、最後までやり抜こうと決めました。

美咲町を深く知ることのできたフィールドワーク
 国際観光学部3年 黒原陸

 美咲町には6月末に一度調査のために訪れ、さまざまな観光地や観光資源を自分たちの目で確認しました。そこでは住所が表示されていないものや看板がないもの、観光資源として活かすことが困難な資源などがいくつかある一方で、観光情報などには掲載されていない新しい観光資源を見つけることができました。それらの情報を一度持ち帰り、整理した上で、調査した観光資源や新しく見つけた観光資源を組み合わせることができないかを全員で話し合いをしました。その結果、分野ごとに異なる4つのテーマを設定し、それらに合う観光資源を組み立てたてたり、テーマに沿ったコンセプトを設定しました。
 今回の調査では、設定した4つのテーマに関連する観光資源や観光情報などが事前に調査した内容以外にないか、美咲町の観光の現状についてなどを美咲町産業振興課の方にうかがいました。町役場の方にお話をうかがうまで、質問の内容やコンセプトなどについて内容の練り直しや、情報が正しいものかどうかなど、テーマごとのメンバーで話し合いを繰り返しました。
 フィールドワークの当日は、産業振興課の方からたくさんのお話をうかがうことができました。美咲町には個人で経営されているカフェが多く点在し、中でも美咲町に魅力を持ち、県外から移住された方が多く、そのほとんどが古民家などを改築して経営を行っていることがわかりました。その他にも、地元の米を使った商品を販売する店やバーなどがあります。しかし、いずれも「利益」を意識した経営より、個人のライフスタイルの充実や「生きがい」を求めた経営をされている方が多いため、比較的営業時間が短い傾向にあることも知ることができました。事前に準備した質問内容をもとに、たくさんのお話をうかがうことができたのですが、私たちが設定したテーマを実現させることのできる観光資源は少なく、テーマの内容やコンセプトを変えなければいけない可能性がありました。そこで、2日目以降は現地での予定を変更し、「カフェ」を調査するグループと、観光マップの中でまだ訪れていない観光資源を調査するグループに分かれて行動することになりました。私たちのグループは「湯田八幡神社」を訪れました。
 美咲町内には「八幡神社」と名のつく神社が複数存在し、訪れる際には観光マップとインターネットを活用したり、道中で現地の方に聞いたりするなどして、ようやく訪れることができました。現地には途中の行き方を示す看板や案内表示などがなく、神社付近に小さな案内看板があるのみで、現地に訪れるまでには相当な調査が必要でした。また、神社へたどり着く道も細く雑草が生い茂っており、駐車スペースなどもなく、訪れるための交通手段も限られます。神社の境内には美咲町指定の天然記念物である樹林が存在感を増し、その高さや大きさは出迎える人を驚かすほどの迫力でした。鳥居付近には人が訪れた様子があるものの、神社内は誰もおらず鳥居や本殿の付近はあまり手入れがされていないような状態でした。しかし、境内からの眺めはとてもよく、付近に広がる棚田を一望することができました。
 今回の調査を受け、今後は産業振興課の方からうかがった情報や現地を調査した際に得た情報などをもう一度整理したいと思います。そして、テーマに合う内容や観光資源など必要なものを分類することや、各テーマのコンセプトの再設定や別のテーマへの変更、町役場への最終的な提案方法などを全員で話し合って決定していく取り組みを進めたいと感じました。

美咲町で見つけたアーツ&クラフツビレッジの観光的価値
 国際観光学部3年 西岡翼

 私たち森重ゼミは、1回目のフィールドワークをもとに美咲町で何ができるのか、そして美咲町の観光資源をどのように利用できるのかをコンセプトに考え、グループに分かれて2回目のフィールドワークを行いました。最初に美咲町役場の方にお話をうかがおうと町役場を訪れました。そこで私たちは「アーツ&クラフツビレッジ」という廃校を改装した家具や染織がある場所を紹介していただきました。
 そこに実際に訪れたところ、とても山奥にあり、大自然の中心にありました。アーツ&クラフツビレッジまでの行き道には、当時の小学生がバスで通っていた形跡が見られました。実際にお話を聞かせていただいたところ、とてもおもしろいと感じました。中に入ると、小学校として使われていた当時のまま使われているところも多く、うまく利用した施設でした。例えば、理科室をカフェとして利用しているところや給食室を染め物などで使っているところなど、おしゃれでおもしろい空間が広がっていました。アーツ&クラフツビレッジには、都市圏で織物や染め物を学校で教えているような先生や海外の学生などが多く訪れています。そして、多くの方が泊まり込みで体験をしています。長い方では3ヶ月も泊まり込んでいるそうです。日本の伝統技術や文化に触れたい海外の方はたくさんおられます。美咲町は日本でこそほとんど知られていませんが、フランス・パリ市などと協力して芸術祭が行われるなど、グローバルな都市です。日本では2020年に東京オリンピック、2025年に大阪万博、そして未定ですがカジノなどが予定され、世界の注目を集めています。海外の方に向けてうまく伝えられれば、観光資源として使えると思います。
 しかし、今回町役場の方やアーツ&クラフツビレッジの方にお話をうかがったところ、問題点も見えてきました。ひとつは美咲町の観光マップが10年も変わらずにそのままであることです。また、町自体が観光をうまく機能させていないこと、そして行政と町民が向き合えていないこと、そもそも観光協会がないので、うまく連携できていないとおっしゃっていました。私は今回、アーツ&クラフツビレッジについて観光の価値を考えました。観光で長期的に楽しめることを考えたとき、美咲町で最もアーツ&クラフツビレッジが当てはまると感じました。これからゼミで新しく観光マップを制作し、美咲町と森重ゼミで何か行えるのか、後期のゼミでは具体的な話し合いができればと考えます。

美咲町の新たな魅力の発見
 国際観光学部3年 岡大地

 私たち森重ゼミは9月5~7日に岡山県美咲町でフィールドワークを実施しました。前回のフィールドワークで美咲町の観光資源の管理が不十分なところが見られたこと、主要な観光地がないことが問題点として考えられたため、新たな町のイメージをつけ、テーマを持った観光ルートを作成することを目的に調査しました。
 フィールドワーク1日目は町役場で聞き取り調査し、美咲町の観光の現状と問題点についてお話をうかがいました。2日目以降は聞き取り調査で得た情報をもとに、観光ルートの作成よりも新たな観光地探索の方が有意義であると考え、グループに分かれて美咲町の観光資源を調査しました。私のグループが新しく訪れた観光地の中で、可能性を秘めていたものを紹介します。
 1つ目は「仏淵の滝」です。美咲町の観光地「まきばの館」や「アーツ&クラフツビレッジ」に近く、アクセスしやすい場所にあり、自然のままの風景を楽しむことができます。また、滝としての迫力も十分にあり、聞こえてくる音や空間は癒しそのものでした。疲れた時の休憩場所のように活用できるかもしれません。しかし、現在はあまり整備されていないため、近くで滝を見ようとすると少し体力が求められそうであり、改善が必要になると思われます。
 2つ目は「三休公園」です。民話村の近くにあり、少し休憩したり、遊んだりするには適した空間でした。川にはカメやコイの姿を確認でき、1つ目の仏淵の滝と同様、水辺空間ですが、広い川に小船を浮かべ釣りをすることもできそうで、互いに違った魅力を持ち合わせていました。
 今回のフィールドワークを通して、新たに見つかった課題が2つあります。1つ目は観光客を受け入れる体制が整っていないことです。10年以上更新されていない観光マップや整備されていない観光地などにより、訪れた観光客に対し、美咲町のイメージダウンが懸念されます。2つ目は「食堂かめっち」から次に行く観光地が定まっていないことです。「食堂かめっち」は県外からも観光客が訪れるほどの人気があります。しかし、その後どこに行くか決めていない観光客が美咲町内で周遊しないため、滞在時間が減ってお金が落ちず、その結果美咲町の観光振興が進まないというメカニズムでした。
 これらの問題点の解決に共通した答えは、美咲町内に「食堂かめっち」以外の魅力的な観光地を見つけ、観光客に宣伝し、滞在時間を延ばしていくことです。問題解決に至るまでにはさまざまな課題がありそうですが、後期のゼミ活動に中で答えを見つけていこうと思います。

わかりづらく、たくさん汗をかいたフィールドワーク
 国際観光学部3年 TRAN THI LOAN

 2019年9月5日(木)~7日(土)、森重ゼミでは美咲町でたまごかけごはん以外の新しい観光資源を探すことを目的に、2回目のフィールドワークを行いました。1回目に調査を行ったところ以外で、現地に置いている観光マップに載っているところを調査しました。また、町役場の観光担当者から美咲町の観光計画や方針について聞き取り調査も行いました。
 フィールドワークに行く前に、専門演習の授業で美咲町の調査を行ったところ、観光資源として魅力があるかどうか、どのような組み合わせをしたら、美咲町の魅力を伝えることができるのかについて考えました。
 今回も3つの地区に魅力がありそうなところから4つのテーマを考え、そのテーマに適切なところを選びました。しかし、町役場の方と聞き取り調査が終わった後、4つのテーマのうち2つが難しいことがわかりました。私のグループの「ペットと一緒に観光資源を楽しむ」というテーマもなくなりましたので、その代わりに柵原地区の残っているところや、前回わかりにくくて行けなかったところを再度調査しました。また、授業で決めた観光資源の評価項目や写真の撮り方など、現地で調査する時に決めた内容に基づいて情報を集め、評価しました。
 調査当日は住所を間違ってしまい、山上にある別の場所にたどり着きましたが、棚田の絶景を見ることができたので、満足しました。午後、「温知館跡」に行きました。ここは小学校の近くにあるとインターネットに書かれていましたが、小学校の周りを2回も回りましたが、見つからなかったで、小学校の先生に尋ねました。そこで、行き方を教えていただきましたが、その小学校の可愛い女の子が何も言わず、連れて行ってくれました。恐らく恥ずかしがり屋で話さなかったのでしょうが、地元の方の優しさを感じました。温知館跡は小さい看板に説明が書いてあるだけで、観光資源としての魅力は乏しく、説明の看板のために見に行く人がいないのではないでしょうか。
 次の日に、緑化公園へ行きました。公園はとても広く、温泉やパークゴルフ場もありますが、大きな木がなければ、晴れの日は暑いかもしれません。しかし、週末や休みの日に家族でピクニックに行ったり、子供づれで散歩したりするなどには適切な場所です。また、カップルやお年寄りの方にも空気がよく、景色の良い公園になると思います。
 今回のフィールドワークは天気が良い日に行きましたので、わかりづらく、たくさん汗をかきましたが、たくさんの思い出になって、今までとは違う日本の魅力を知りました。一生忘れられない時間だと思います。この実感を観光客にも伝わるように頑張ります。