4年生が卒業研究、3年生がゼミ活動の成果を発表しました
2月6日(木)、森重ゼミの2~4年生41名が出席し、第7回森重ゼミ・卒業研究発表会を開催しました。森重ゼミでは卒業研究を大学4年間の学びの集大成と位置づけており、ゼミ生それぞれが独自性と社会的意義を持った研究テーマをもとに、4年次の1年間をかけて取り組んでいきます。ゼミ生は、日ごろからブックレビューやフィールドワークレポートなどを通して1,000~2,000字の文章は書き慣れていますが、20,000字以上の論理的な文章を書くことは容易ではなく、今年も多くのゼミ生が苦労していました。しかし、今年もバラエティに富んだ研究テーマが出され、卒業研究をまとめていきました。
当日は3年次のフィールドワークの調査対象地を決めたばかりの2年生、ゼミ活動の成果を取りまとめつつある3年生が、4年生の卒業研究の成果発表を熱心に聞いていました。4年生による16編の卒業研究発表の後、岡山県美咲町でフィールドワークしてきた3年生が「美咲町の新たな観光資源の発掘とモデルコースの提案」について発表しました。終了後には恒例の懇親会を行い、1年間の研究活動の労をねぎらうとともに、学年を越えた交流を楽しんでいました。
以下では、卒業研究を提出したゼミ生の研究テーマおよび要旨を紹介します。(森重昌之)
当日は3年次のフィールドワークの調査対象地を決めたばかりの2年生、ゼミ活動の成果を取りまとめつつある3年生が、4年生の卒業研究の成果発表を熱心に聞いていました。4年生による16編の卒業研究発表の後、岡山県美咲町でフィールドワークしてきた3年生が「美咲町の新たな観光資源の発掘とモデルコースの提案」について発表しました。終了後には恒例の懇親会を行い、1年間の研究活動の労をねぎらうとともに、学年を越えた交流を楽しんでいました。
以下では、卒業研究を提出したゼミ生の研究テーマおよび要旨を紹介します。(森重昌之)
当日の様子
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卒業研究のテーマおよび要旨
CSRの認知度向上に向けたSNSの活用の可能性-ANAの取り組みを事例に(No.78)
国際観光学部4年 三木鈴菜
近年、日本の多くの企業がCSRの取り組みに力を入れているが、実際には学生や主婦などのあまり企業とかかわらない層のCSRの認知度が低いことに着目した。本研究では、学生や主婦の認知度が低い原因を明らかにした上で、認知度を高める方法を検討することを目的とした。まず、CSRに関する現状を整理し、学生や主婦が普段目にするSNSやWEBサイトであまり取り上げられていないことや、学生に関してはCSRが固いイメージで、十分理解されていないことが課題として明らかになった。この課題を解決するために、ANAの取り組みを事例に、CSRが消費者の暮らす社会全体にもメリットがある活動をどのようにうまく行っているのか、CSRの認知度を高める方法として、SNSやWEBサイトを利用していることを整理した。分析の結果、CSRを行う上で、お客様を巻き込んで活動することやお客様のニーズに応えることなどが、社会全体にもメリットがある活動としてうまく行うことができる。また、SNSを活用することでわかりやすく発信でき、学生や主婦が目にしやすいため、認知度を高める上で効果的であることがわかった。これらを踏まえ、ANAの取り組みを他の企業でも活用する可能性を検討した。
SNS映えに頼りすぎない観光資源と人びとのあり方(No.79)
国際観光学部4年 長澤天桜
近年、“SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)映え”を利用して、観光資源の活性化を図る企業や地域が多く見られる。SNSでは自分が撮影した写真や文章を自由にシェアできるうえ、情報を簡単に集めることができ、拡散力や口コミ力を通じた経済効果をもたらすきっかけとなっている。しかし、SNS映えのための消費者の行動によって、観光資源に悪影響も及んでいる。SNS映えのための消費者の行動の中には、法を犯しかねない行為も存在し、他人に迷惑をかける恐れもあるため、SNS映えはメリットだけではない。本研究は、こうした消費者の迷惑行為によって観光資源に悪影響が及ぶ原因を、消費者側と観光資源側に着目した。まず、消費者側のSNS映えに興味がない人とこだわる人にはどのような差があるのか、またSNS映えによる観光資源側のメリットとデメリット、実際に観光資源を守るために行われている取り組みについて調査した。その結果、SNS映えにこだわる人とこだわらない人の間には、“自己愛”や“自己顕示欲”、“承認欲求”が強いかどうか、非日常という空間に対してこだわるかどうかという差があることがわかった。SNS映えにこだわる人は“他人に迷惑をかけているかもしれない”という自覚があることから、消費者の問題意識をさらに強めるような対策が必要である。その上で、そもそもSNS映えに頼る以前に、観光資源の素材を磨く必要があることを指摘した。
本人の宗教観からみる異文化交流のあり方-なぜイスラム教にだけ違和感が生まれたのか(No.80)
国際観光学部4年 吉岡七夏
本研究では、宗教の中でも特に否定感や嫌悪感の強いイスラム教について、なぜ他宗教と比較した時に多くの日本人が否定感を抱いているのか、その要因について明らかにした上で、それらを取り除く方法について検討することを目的とした。現在、日本は観光立国として成長しており、訪日外国人観光客も伸びている。宗教に注目すると、世界のイスラム教崇拝者は2070年にはキリスト教徒の数を上回ると予想されている。しかし、イスラム教にだけネガティブなイメージが生まれていることが明らかとなった。その要因として、日本人の宗教性、イスラム教徒と触れ合う機会の少なさ、報道による誤解のされやすさがあげられた。日本人の異文化理解には国家的問題は関係なく、友好的に交流を図ろうということが見受けられたため、今後も訪日外国人に対して異文化の理解を深める必要がある。その際に、観光による交流が有効であると考えた。
エアーズロックにおける文化と環境の両立の可能性(No.81)
国際観光学部4年 ウォーレン湖南
オーストラリアのシンボルのひとつに、エアーズロックがある。エアーズロックでは、公園内の散策やリゾートから見るサンセット&サンライズ観賞など、さまざまな楽しみ方が存在する。その中で、ツアー内容のひとつにあるエアーズロック登山は、多くのツーリストの間では必ず体験してみたいことと考えられている。しかし、原住民族アボリジニの種族でその地を管理しているアナング族が、聖地であるエアーズロックをけがすツーリストの行為に長年難色を示していたため、2019年10月26日以降完全禁止になった。本研究では、アナング族が納得できる環境と文化の保護方法があるのかを探し出し、エアーズロック登山を禁止せずに環境保全の手段を模索することを目的とした。まず、登山を禁止にすることで、アナング族とツーリストにどのようなメリットとデメリットがあるのかを明らかにした。そこから、富士山、白神山地、知床半島それぞれの対策を事例に、エアーズロックに適応できるか検討した。その結果、ガイドの同行と登山前に行われる注意事項の説明がエアーズロック問題に適応できると結論づけた。
韓国大邱広域市における地域活性化(No.82)
国際観光学部4年 水戸のどか
近年、韓国を訪れるインバウンドが増え続けている。本研究は、韓国第3都市にもかかわらず、大邱広域市へ訪れるインバウンドが少ないため、ソウル市および釜山広域市と比較し、なぜインバウンドが少ないのか、どのようにしたら増えるのかを明らかにすることを目的とした。まず、大邱広域市の現状などを分析するとともに、現地調査や聞き取り調査を実施した。また、現地調査や聞き取り調査で見つかった問題点を2つの都市と比較し、整理した。その結果、ソウル市では古くから蓄積された首都としての代表的な建物とショッピングが混合された高等機能という過去と現代の組み合わせや、都市を活かしたさまざまなイベンドなどから、ソウル市へ訪れるインバウンドが増えたことが明らかになった。一方、釜山広域市では釜山国際映画祭やG-starのような祭りを開催することで、釜山広域市を知らないインバウンドを呼ぶきっかけになることが明らかになった。この調査から、大邱広域市ならではの祭りや観光地を活かすことで、インバウンドを誘致できるのではないかと提案した。
サービスエリアの観光資源化の要因とサービスエリアの今後のあり方(No.83)
国際観光学部4年 立居泰賀
近年、SA(サービスエリア)が観光資源化されつつある。本研究は、本来休憩施設であったSAが観光資源化されている要因を明らかにした上で、SAの観光資源化が運営側と利用者側、地域住民や周辺地域にとって良いことかどうか検討し、今後のSAのあり方を考察することを目的とした。まず、SAが観光資源化される経緯や現状を整理し、SAの観光資源化には道路公団の民営化がかかわっていることや、民営化による魅力的なSAつくりが観光資源化の要因であることを明らかにした。そこで、SAの観光資源化が運営側と利用者側、地域住民や周辺地域にとって良いのか悪いのか調査した結果、それぞれに良い影響をもたらしていると評価した。ただし、今後SAの観光資源化による弊害が増加すると予想されることから、目的に応じて駐車場を分ける方法を提案した。
キャッシュレス決済利用者の増加に向けた提案-中国を事例に(No.84)
国際観光学部4年 大石茉南
近年、キャッシュレス決済サービスへの参入が増え、競争が激しくなっていると言われている。本研究では、文献やウェブサイトや聞き取り調査によって、日本のキャッシュレス決済の現状や加盟店側と消費者側双方のメリットやデメリットを明らかにした。また、キャッシュレス決済の先進国における現状も明らかにした。その上で、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」で示された、「10年後までにキャッシュレス決済比率を4割程度にする」ことを実現する方策を提案することを目的とした。日本と中国ではインターネット利用率が変わらないにもかかわらず、日本はQRコード決済の割合が少ない。日本は中国や韓国に比べ、決済方法が定まっていないことが明らかになった。そこで、中国の成功事例をもとにQRコード決済を推進することで、日本のキャッシュレス決済比率を4割程度に増やすことができるのではないかと結論づけた。
コンテンツツーリズムによる観光客増加の可能性-岐阜県飛騨市古川町を事例に(No.85)
国際観光学部4年 奥野滉貴
本研究では、2016年アニメ映画「君の名は。」のモデル舞台地となった岐阜県飛騨市古川町を事例に、放映後の観光客増加の可能性について検討することを目的とした。まず、聖地巡礼による影響や「君の名は。」のブーム後の古川町の観光の状況を明らかにした。次に、先行研究の調査を行い、作品の聖地巡礼として注目を浴びた地域や、各地域が放映時に行った取り組みなどについて整理した。調査の結果、作品の放映後は観光客数が減少することが多く、維持していくことが難しいということがわかった。古川町では、「君の名は。」の放映終了後の課題として、放映前より多くの観光客を維持していくことが必要であると考えた。課題を解決するために、先行事例として2007年に放映された「らき☆すた」のモデル舞台地となった埼玉県久喜市鷲宮町を取り上げた。研究の結果、鷲宮町のアニメ終了後の観光客維持につながった要因として、「作品自体は更新されないが、地域が疑似的に作品を更新することによって新しい魅力を提供する」、「地域が作品を尊重し作品と地域がコラボした魅力を提供する」ことが必要であると明らかにした。これらを踏まえ、「君の名は。スタンプラリーツアー」イベントの開催を提案した。
星空を活用した地域活性化の成功要因の分析-阿智村の日本一の星空ツアーを事例に(No.86)
国際観光学部4年 浦西開斗
本研究は、景気低迷のあおりを受けて衰退した地域が新たな観光資源を発掘し、地域活性化に結びつけた長野県阿智村の星空ツアーを事例にあげ、阿智村に多くの観光客が集まる要因や阿智村の独自性を明らかにすることを目的とした。まず、阿智村と同じく「星空日本一」と認められた地域を取り上げ、阿智村の調査・分析を行い、他の地域との比較を行った。比較・分析の結果、日本一というブランドではなく、阿智村で行われている「ナイトツアー」や地域循環によって多くの観光客を集め、地域活性化ができたことを明らかにした。そして、新たな観光資源に目を向けること、独自性をつくり出すこと、他の産業とのつながりをつくること、外部からの協力を得ることの必要性を指摘した。今後、星空を観察するエリアの近くにある観光資源との連携や、星空を撮影するカメラマンの協力を図るなど、同じ星空に工夫を加えることで、他の地域でも独自性を生むことができると考えられる。
奈良公園におけるシカと人間の共存の可能性(No.87)
国際観光学部4年 栗牧真美
近年、奈良県の天然記念物(観光資源)であるシカが観光客や地域住民とのトラブルを抱えている。観光客や地域住民による間違った餌やりにより、シカが農作物を食べ荒らしている。また、自動車との衝突事故も増加している。その他にも、シカと人が接触する事故や獣害など、さまざまなトラブルを抱えている奈良公園のシカだが、一方で「神の使い」として大切に保護されてきた。しかしながら、大切に保護されてきたシカが、近年獣害が起こっているという理由で殺処分されている。そこで、本研究では人間とシカがうまく共存する方法はないのかを明らかにするため、シカと自動車による交通事故、人間のポイ捨てによるシカの誤飲誤食、シカと人間の接触事故、シカによる獣害の大きく4つの問題について調査し、それぞれの問題について分析、考察し、解決案を提案した。しかし、獣害被害の軽減と生態系の維持にあたり、シカの頭数管理の必要性が明らかになった。このことから、シカと人間が共存するにあたり、シカの駆除はやむを得ないと結論づけた。
メディアの多様化による問題とその改善策(No.88)
国際観光学部4年 神田淳之輔
本研究は、インターネットメディアの登場と成長によって多様化しているメディアと、それによる影響を明らかにすることを目的とした。まず、インターネットメディアが成長し、マスメディアと対等になることで起こる問題を調査した。その中で、インターネットメディアには「情報の信頼性」、「情報の偏り」の問題があることが明らかになり、それらの問題を改善することで、マスメディアとインターネットメディアは融合し、共存できるのではないかと分析した。そして、発信者側と利用者側の双方から問題の改善策を考察した。その結果、マスメディアやインターネットメディアといった情報発信の媒体で線引きするのではなく、誰が発信しているかといった発信者そのもので線引きにすることが重要であると考えた。また、利用者側と発信者側のそれぞれがメディアを有効的に使うことで、メディアの多様化による問題を改善することができると考えた。
高校野球による投手の酷使改善の可能性(No.89)
国際観光学部4年 木村優吾
高校野球は、メディアによる感動ストーリーを常につくり上げてきた。負けたら終わりのトーナメントという高校野球の魅力を与え、幅広い年齢層から人気を誇っている。負けても次があるプロ野球と比べても、1球1球に魂をこめる高校野球はまるで違うスポーツだ。しかし、負ければ終わりのトーナメントゆえ高校野球にだけ特有の投手の酷使という問題が起きている。本研究では、この問題を解決するために、球数制限、分業制、リーグ戦導入の3つの制度を提案した。そして、これらの制度のメリット・デメリットを比較し、分析した。その結果、球数制限が解決策に相応しいと考えた。しかも、すぐに導入するのではなく、数年後に導入することが望ましいと結論づけた。
訪日中国人観光客のより良い環境をつくるためのインバウンド対策(No.90)
国際観光学部4年 谷口歩夢
近年、日本に来る中国人観光客が増えている。2015年に流行語になった「爆買い」とは観光客が一度の買い物で大量に購入することで、主に中国人観光客のことを指している。2016年には爆買いが終わったとメディアで報道されていたが、一部の高額商品を除き、今でもその消費行動は健在で、訪日外国人の中で消費額が最も多い。このことから、訪日外国人トップの中国に注目し、2020年の東京オリンピックに向けてインバウンド対策がこれからもっと重要であると考えた。さらに、外国人観光客の受け入れのためには多言語の対応やマナー、異文化理解など、他にもさまざまな問題点がある。そこで、本研究では訪日中国人観光客に注目し、言語問題、マナーの悪さ、通信環境などの問題点の解決方法を考え、インバウンド対策を明らかにした。そのために、他の国や地域の中国人に対するインバウンド対策を事例に、受け入れ態勢を整えなければならないと考え、東京オリンピック後の中国人観光客の集客も期待できると結論づけた。
徳島県の訪日外国人誘致に向けた提案(No.91)
国際観光学部4年 樫原萌香
近年、訪日外国人旅行者が増えている。そこで、まず訪日外国人が増えている理由や訪日外国人が何を求めて訪れるのかを明らかにした。訪日外国人の中でも地方を訪れるリピーターが増えている中で、徳島県の訪日外国人旅行者が伸び悩んでいる現状を明らかにした。そして、県内には訪日外国人のニーズを満たした観光資源があるにもかかわらず、訪日外国人旅行者数が伸び悩んでいる原因の1つとして、魅力ある観光資源が知られていないことを指摘し、観光資源の知名度を上げることを課題とした。その上で、知名度が低かった東北が訪日外国人誘致に成功した事例をあげ、徳島県でも取り入れることで観光資源の知名度アップにつながると考えた。その方法として、徳島県も県外や海外に出向いて徳島県の観光資源の魅力をPRするイベントを行うこと、周辺の府県が互いに観光資源や移動手段を外国人旅行者に伝えて連携を図ることを提案した。
インバウンドがもたらす経済効果-キャッシュレス推進による消費拡大の可能性(No.92)
国際観光学部4年 久保田芹華
近年、インバウンドの姿は日常の至るところで見かけるようになり、百貨店や小売店、飲食店ではインバウンド向けのサービスも増えた。インバウンドの旅行消費額が伸び悩んでいるというニュースを読み、インバウンドによる旅行消費を伸ばすにはどうすればよいのか気になった。本研究は、これまでのインバウンド政策、インバウンドの受入態勢などから、なぜ伸び悩んでいるのか原因を見つけ、その改善策とインバウンドによる経済効果の拡大の可能性について検討した。まず、日本政府のインバウンド誘致の政策やインバウンドの推移・消費行動について整理した。その結果、キャッシュレス決済が進んでおらず、支払手段が限られていることが不満であることが明らかになった。次に、日本におけるキャッシュレスの現状となぜ普及が進まないのか、諸外国ではどのように推進されたのか調査した。日本では現金への信頼が強いこと、キャッシュレス利用者へのインセンティブが諸外国に比べ整っていないことが原因だと分析した。その改善には、利用者へのインセンティブを強化することが有効であると評価し、キャッシュレスが推進されるとインバウンドによる経済効果の拡大が期待できると結論づけた。
エコツーリズムを推進する島に空港は必要か-小笠原諸島を事例に(No.93)
国際観光学部4年 山下弥華
小笠原諸島は生態系の独自性が評価され、2013年6月に世界自然遺産に登録された。その独自の自然文化を次世代に継承するためにエコツーリズムを推進している。小笠原の地形や天候などの条件を見ると、物理的な面では空港建設が可能である。そこで、本研究は観光客を増やして経済的な面で利益をあげるか、自然遺産を守ることが必要なのかを踏まえた上で、小笠原諸島での空港建設の有無を検討することを目的とした。新石垣空港の事例も検討した結果、神秘の宝庫である小笠原諸島には独自の生態系が存在しているため、観光客が増え、生態系が破壊されることの方が問題であることがわかった。そして、小笠原の観光の魅力を継承するためには、空港建設によって多くの人に来てもらうことより、おがさわら丸で24時間かけていく移動時間も独自の文化として継承しながら自然を守る方が良いと結論づけた。