みなさんは、「しっかり管理しなさい」と言われたり、「うまく管理ができていなかった」という言葉を聞いたりしたことはないでしょうか。一般的に管理とは、適度な水準に何かを維持したり、目標に向かって調整したりすることです。例えば、コンビニエンスストアでは、仕入れた商品が売れ残って廃棄処分にしなくて済むように、その反対に人気商品が早々と売り切れにならないように在庫を管理しています。その他にも、体調の管理、お金の管理、時間の管理など様々な管理があります。
それでは、管理とは、具体的にどんなことでしょうか、またどうすればできるのでしょうか。今回は「PDCAサイクル」という管理の考え方を紹介します。PDCAとは「Plan」、「Do」、「Check」、「Act」の頭文字を取ったもので、この枠組みは経営学の授業で習うだけでなく、企業実務の現場でも活用されています。様々な対象に当てはめることができますが、今回は「健康」を例にとり、PDCAサイクルを通じた管理を考えてみましょう。
「Plan」とは計画のことで、具体的には、方針、目標、進め方などの決定を意味します。例えば、健康のために以下のような計画を立てることができるでしょう。
方針:風邪をひかない丈夫な体をつくろう、体を鍛えよう
目標:毎日30分走る、15分程度の筋力トレーニングをする
進め方:早起きして運動の時間を確保する、栄養バランスのとれた食事をする
「Do」は「~をする」という意味ですが、PDCAサイクルにおいては計画の「実行」を示しています。当然のことながら、目標を掲げただけでは達成されません。実現のためには行動が不可欠です。上記の「Plan」を実行に移すとするならば、少し早めに起きて通学前の朝6時半から7時までランニングをすること、就寝前に筋力トレーニングをすること、毎回の食事の内容を記録することなどが挙げられるでしょう。
「Check」は、確認や点検のことです。計画通りに進んでいるか、適切に実行できているかを評価する段階です。頻度や期間は問いません。毎日でも、毎週でも、毎月でも可能です。例えば、運動で負荷がかかって痛めている体の部位はないかを毎日確認する、栄養バランスが偏っていないかを1週間ごとに点検する、1ヶ月に1度体重や体脂肪率を測定する、1年後に健康診断を受けることなどが当てはまります。
「Act」は行動するという意味ですが、これは「Do」と同じではなく、「改善する」または「修正する」という意味です。例えば、「Check」の結果、体重と体脂肪が増えており、この原因を調べた結果、栄養バランスを気にするあまり食べ過ぎてしまったことが明らかになったとしましょう。これを受けて、「Act」では、栄養バランスだけでなく、摂取するカロリーや糖質にも気をつける、体重や体脂肪率を目標数値に入れるなどの改善が行われます。
PDCAサイクルは「サイクル」という言葉の通り、循環する考え方です。そのため、「Act」からもう一度「Plan」に戻ります。上記の「Act」の結果、以下の内容が当初の計画に加えられました
方針:体型を維持しよう
(風邪をひかない丈夫な体をつくろう、体を鍛えよう)
目標:体重60kg、体脂肪率20%を維持する。
(毎日30分走る、15分程度の筋力トレーニングをする)
進め方:カロリーや糖質を把握する。
(早起きして運動の時間を確保する、栄養バランスのとれた食事をする)
カッコ内は当初の計画(Plan)です。発生した問題への対処が追加され、計画がより具体的になりました。今度は前回よりもっと効果的に健康の管理ができるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。「管理する」という言葉だけでは難しそうに聞こえますし、何から始めれば良いのか戸惑うかもしれません。しかしPDCAサイクルに当てはめて考えれば、管理の全体像が見えますし、何に取り組めば良いか明確になります。このようなことから、PDCAサイクルの考え方は、民間企業だけでなく、政府機関、病院、大学などでも活用されています。
それでは、PDCAサイクルを知っていれば、何事もうまく管理できるのでしょうか。残念ながらそうではありません。その理由は、PDCAサイクルがあくまで管理に必要な順序や段階を示したものであり、その中にある事柄が正しいかどうか、または本当に実行できるかどうかは分からないためです。
例えば、非常に難易度が高い資格試験へ挑戦する場合、睡眠時間を削り1日18時間勉強する、分厚い参考書や問題集を全て丸暗記するなどの計画(Plan)を立てることができます。しかし、多くの人にとってこれはほとんど実行不可能なことでしょう。また、仮にそれが可能だったとしても、PDCAサイクルはこの資格が本当にその人の将来に必要となるかどうかについては教えてくれません。
このような点に注意する必要がありますが、もしみなさんが何か達成したい目標がある場合、または、これまでうまく維持や調整ができないことがあるならば、PDCAサイクルを活用して「管理」してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、前よりもうまくできるようになるかもしれません。また例え最初はうまくできなかったとしても、PDCAという「サイクル」を回している内に改良が進み、魅力的な内容に進化するかもしれません。
「Plan」とは計画のことで、具体的には、方針、目標、進め方などの決定を意味します。例えば、健康のために以下のような計画を立てることができるでしょう。
方針:風邪をひかない丈夫な体をつくろう、体を鍛えよう
目標:毎日30分走る、15分程度の筋力トレーニングをする
進め方:早起きして運動の時間を確保する、栄養バランスのとれた食事をする
「Do」は「~をする」という意味ですが、PDCAサイクルにおいては計画の「実行」を示しています。当然のことながら、目標を掲げただけでは達成されません。実現のためには行動が不可欠です。上記の「Plan」を実行に移すとするならば、少し早めに起きて通学前の朝6時半から7時までランニングをすること、就寝前に筋力トレーニングをすること、毎回の食事の内容を記録することなどが挙げられるでしょう。
「Check」は、確認や点検のことです。計画通りに進んでいるか、適切に実行できているかを評価する段階です。頻度や期間は問いません。毎日でも、毎週でも、毎月でも可能です。例えば、運動で負荷がかかって痛めている体の部位はないかを毎日確認する、栄養バランスが偏っていないかを1週間ごとに点検する、1ヶ月に1度体重や体脂肪率を測定する、1年後に健康診断を受けることなどが当てはまります。
「Act」は行動するという意味ですが、これは「Do」と同じではなく、「改善する」または「修正する」という意味です。例えば、「Check」の結果、体重と体脂肪が増えており、この原因を調べた結果、栄養バランスを気にするあまり食べ過ぎてしまったことが明らかになったとしましょう。これを受けて、「Act」では、栄養バランスだけでなく、摂取するカロリーや糖質にも気をつける、体重や体脂肪率を目標数値に入れるなどの改善が行われます。
PDCAサイクルは「サイクル」という言葉の通り、循環する考え方です。そのため、「Act」からもう一度「Plan」に戻ります。上記の「Act」の結果、以下の内容が当初の計画に加えられました
方針:体型を維持しよう
(風邪をひかない丈夫な体をつくろう、体を鍛えよう)
目標:体重60kg、体脂肪率20%を維持する。
(毎日30分走る、15分程度の筋力トレーニングをする)
進め方:カロリーや糖質を把握する。
(早起きして運動の時間を確保する、栄養バランスのとれた食事をする)
カッコ内は当初の計画(Plan)です。発生した問題への対処が追加され、計画がより具体的になりました。今度は前回よりもっと効果的に健康の管理ができるかもしれません。
いかがでしたでしょうか。「管理する」という言葉だけでは難しそうに聞こえますし、何から始めれば良いのか戸惑うかもしれません。しかしPDCAサイクルに当てはめて考えれば、管理の全体像が見えますし、何に取り組めば良いか明確になります。このようなことから、PDCAサイクルの考え方は、民間企業だけでなく、政府機関、病院、大学などでも活用されています。
それでは、PDCAサイクルを知っていれば、何事もうまく管理できるのでしょうか。残念ながらそうではありません。その理由は、PDCAサイクルがあくまで管理に必要な順序や段階を示したものであり、その中にある事柄が正しいかどうか、または本当に実行できるかどうかは分からないためです。
例えば、非常に難易度が高い資格試験へ挑戦する場合、睡眠時間を削り1日18時間勉強する、分厚い参考書や問題集を全て丸暗記するなどの計画(Plan)を立てることができます。しかし、多くの人にとってこれはほとんど実行不可能なことでしょう。また、仮にそれが可能だったとしても、PDCAサイクルはこの資格が本当にその人の将来に必要となるかどうかについては教えてくれません。
このような点に注意する必要がありますが、もしみなさんが何か達成したい目標がある場合、または、これまでうまく維持や調整ができないことがあるならば、PDCAサイクルを活用して「管理」してみてはいかがでしょうか。もしかしたら、前よりもうまくできるようになるかもしれません。また例え最初はうまくできなかったとしても、PDCAという「サイクル」を回している内に改良が進み、魅力的な内容に進化するかもしれません。
身近な経営情報あらかると
本連載では、われわれ阪南大学経営情報学部の教員が日頃の研究成果をもとに、みなさんの暮らしに役立つちょっとした知識を提供していきたいと考えています。研究分野はさまざまですが、いずれの場合も社会に役立つことを最終目標としています。難しい理論はとりあえず脇に置いて、身近な視点から経営情報学部に興味を持ってもらえれば幸いです。