新年度がスタートすると新しい仲間と関わることって、たくさんありますよね?
クラス替えによる学校内での新しい仲間との出会い、入学式で地域を超えた新しい仲間との出会い。もちろん、新年度以外でも新しい仲間と出会う機会はありますが、新年度は特に新しい仲間と出会う可能性が高いのではないでしょうか。
 新しい何かが始まるとした時、必ず物事には弊害が出てきます。現在一般的に楽しまれているダンスも19世紀までは古典バレエが中心でした。古典バレエとは、物語性をもった複数幕の作品が多く、全ての動きは“pas”とよばれる型のある動きで構成されています。(「くるみ割り人形」、「白鳥の湖」など)劇場舞踊成立以来、観る者と演ずる者が存在し演ずる者の多くはプロフェッショナル・ダンサーであり、観る者はその卓越した身体や作品の物語を楽しんでいたといいます。しかし、19世紀末から20世紀初頭にかけて、アメリカ人であるイサドラ・ダンカンらによって、自由な表現を求めて新しいダンス(モダン・ダンス)が出現しました。この新しいダンス(モダン・ダンス)が発展し、現在みなさんが身近に感じ様々なメディアでよく目にする現在のダンスへと進化してきました。当時の新しいダンス(モダン・ダンス)は物語性を否定し、自分自身を表現そのものとした作品が多く、時代の影響もありすぐに受け入れてもらうことができませんでした。その後、彼女たちの努力と活躍によって新しいダンス(モダン・ダンス)は、クラシックバレエを始め、多くのダンスに影響を与え、演者はプロフェッショナルダンサーだけでなく、素人も演者として楽しめるダンスへと発展し、現在に至ります。
 このように、新しい何かが始まる時には困難が待ち構えていることが少なくありません。しかし、このような困難は特別なことでなく、誰にでも起こりうることなのです。

 新年度に新しい仲間と出会い、新たな関係を築こうとした時、恐らく不安を感じる人も少なくないのではないでしょうか?いざ、話し合いを始めようにも、会話が続かなかったり沈黙が続いたり・・・あの独特な緊張感を無くすことができればどんなに良いか・・・。「アイスブレイク」はこの独特な緊張感(アイス)を打ち壊し(ブレイク)、その後の時間の流れを有意義なものに繋げる手段のひとつです。「アイスブレイク」によって、お互いの壁を取り払うことで、緊張感がほぐれ安心して何かに取り組むことができます。また、組織などのチームによっては、その導入で今後に左右するかもしれません。チーム力を高めるためには、お互いの壁を取り払って交流することがいちばんの近道かもしれませんね。
 ところで「アイスブレイク」というと、初対面同士の集まりで自己紹介を交えた簡単なゲームを連想するかと思います。名前のあいうえお順で60秒以内に円になって座る、誕生日順、通学時間順・・・これはチェーン術といって、こころがほぐれる「アイスブレイク」の技法のひとつですが、自分に関する情報をゲームのルールにすることで自ら話題を作り、自己紹介をしなくてもお互いに言葉のキャッチボールが可能となります。何回かゲームをした後に隣同士で自己紹介させると、お互いにある程度の情報が入っていることや自分と近い関係の人が隣にいることで、多少の緊張感はほぐれ、自然と話題はお互いに共通する内容となり、会話が成り立ちます。そして、仲間となる第一歩を踏み出せることでしょう。
 この「アイスブレイク」は、このようなゲームをしなくても実は実践可能なのです。つまり、自分自身がアイスブレイカーとなり、アイスブレイクを見知らぬ相手に仕掛けるということです。最初はちょっとした勇気が必要ですが、あなたが相手に対して「少しアイコンタクトをする」ことや「知らない人とペアになって活動する」ことで、その場の雰囲気は和らぎ、新しい出会いに繋がったり、新しい自分に気づいたりと、その行動が自分の成長へとつながることでしょう。こうしたアイスブレイク化が広がれば、あなたの周りの雰囲気は確実に良くなり、新年度に新しい仲間と遭遇しても緊張感の不安に襲われることはないでしょう。
 現代社会では、会話時でもスマートフォンを触っていたり、イヤホンをしていることでバリアをつくり、他者への関心を持つことが少なくなっているように感じます。こうした状況だと、「アイスブレイク」を仕掛けることはできません。あなた自身が「アイスブレイク」される準備を整え「アイスブレイカー」になることで、多くの仲間と豊かな関係を築きあげることが可能となるでしょう。
 あなたのほんの少しの勇気が自分の周りの環境を変え、良い方向へと繋がります。受け身にならず、自発的に行動して考える力を養い、人間力を上げることができる!これが「アイスブレイク」です。
 さあ、明日からみなさんもLet’s try!!

身近な経営情報あらかると

 本連載では、われわれ阪南大学経営情報学部の教員が日頃の研究成果をもとに、みなさんの暮らしに役立つちょっとした知識を提供していきたいと考えています。研究分野はさまざまですが、いずれの場合も社会に役立つことを最終目標としています。難しい理論はとりあえず脇に置いて、身近な視点から経営情報学部に興味を持ってもらえれば幸いです。

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