われわれの提案をすぐに実現したいと言っていただきました

 2017年度の森重ゼミ3年生は、大分県宇佐市をフィールドに、観光客の回遊性向上に向けた研究を進めてきました。これまで2度の現地調査、日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションでの発表、2度の学内発表を行い、提案の内容を深めてきました。ある程度成果がまとまったことから、3月28~29日にかけて宇佐市を再訪し、宇佐市観光協会で成果報告会を開催しました。成果報告会には宇佐市観光協会のほか、宇佐市経済部観光まちづくり課の職員も来てくださいました。
 宇佐市内には、宇佐神宮という有名な観光資源がありますが、他にも季節ごとに魅力ある自然観光資源や人文観光資源、おしゃれなカフェがたくさんあることがわかりました。そこで、宇佐市内のカフェを訪れる若年世代をターゲットに、Instagramを活用して観光資源の魅力を発信する可能性を提案しました。今回のわれわれの提案に対し、宇佐市観光協会の方から「この提案はコストもほとんどかからないので、すぐに実現したい」とおっしゃっていただき、ゼミ生もこれまでの努力が実ったと喜んでいました。
 提案内容の詳細やこれまでの取り組みの様子などについて、以下でゼミ生が報告します。今回のフィールドワークの実施にあたり、宇佐市役所および宇佐市観光協会には聞き取り調査にご協力いただいたばかりか、ゼミ生にお土産まで頂戴しました。皆さまのお心遣いに対し、改めて御礼申し上げます。(森重昌之)

フィールドワークの様子

  • 成果報告会の様子

  • 成果報告会の様子

  • 成果報告会後の記念撮影

  • 香下ダムの満開のサクラを見学するゼミ生

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参加したゼミ生の報告

成果報告の発表を通じて得たもの
 国際観光学部4年 田中美咲

 私たち森重ゼミ6期生は、大分県宇佐市を事例に、「SNSを活用した地域の魅力発信と回遊性向上の可能性」をテーマに約1年間研究を行ってきました。そして、3月28日(水)に研究成果を発表するため、大分県宇佐市を訪れました。発表の対象者は、昨年現地調査を行った際にお話をうかがった宇佐市役所と宇佐市観光協会の方々です。
 今回の成果報告を行うまでに、金沢市で行われた日本観光研究学会全国大会学生ポスターセッションや学内で行われた報告会など、発表する場が何度かありました。そこでいただいたアドバイスや意見をもとに、ゼミ生で何度も話し合いを重ね、資料を修正し、当日を迎えました。発表者は私を含め、4名で行いました。準備期間は約半年と長かったですが、話し合いや資料修正に時間がかかり、発表練習を十分に行えず、少し不安もありました。計画を立てて、進めていくことができなかったところは、反省点でした。
 発表の間は、宇佐市の方々がうなずきながら、お渡しした資料に熱心にメモを取ってくださっていました。発表後は、「この地に住んでいると当たり前だと思う風景でも、皆さんが感じた意見や感想を聞くことで、特別な風景であると気づかされることがありました」や、私たちが宇佐市の回遊性を高めるために提案したカフェに置くポップについて、「早速実践してみたい」といった感想をいただきました。また、「6月にはホタルの光のカーテンが見られる」ことや「歴史博物館には桜が約770本植えられていて見応えがある」ことなど、私たちもまだ知らない宇佐市の魅力を教えていただきました。
 宇佐市や観光のことについてお話ししているうちに、発表前まで感じていた不安もなくなっていました。現地の方からこのようなお言葉をいただくことができ、私たちが約1年かけて研究した成果が実を結び、国際観光学部のおもしろさや達成感を得ることができました。研究をどのような内容でどのように進めていくのかについて悩み、たくさん行き詰ったこともありました。しかし、最後までゼミ生と協力し、成し遂げたことで得られた結果であると感じました。また、この研究を通して、地域を活性化させるには、多くの人の手が必要で、長い時間がかかることもわかりました。私たちの研究にご協力いただいた宇佐市役所や観光協会の方々に、今回の成果報告が少しでも宇佐市の活性化に役立ち、ご恩返しができればと思います。
 この成果報告を通して得た、研究の成果が実を結んだときのおもしろさや達成感を、今後の卒業論文につなげていこうと思います。

学生からの視点で見た大分県宇佐市の観光
 国際観光学部4年 山本真由美

 私たち森重ゼミは、3月28日に宇佐市観光協会で、観光協会と宇佐市役所観光まちづくり課の方々に、1年間の調査成果の報告会を行いました。
 宇佐市は、別府市や由布市といった著名な観光地に隣接しており、市内の回遊性が低いことが課題と考えられました。観光の現状としても、宇佐市は大分県内市町村の中で立ち寄った観光客数が別府市の半分であり、県内の宿泊客数の7割以上を別府市が占めている状況です。このことから、宿泊客数が少なく、日帰りの立ち寄り型観光客が多いことがわりました。一方で、ほとんどの観光客が宇佐神宮だけを訪れており、回遊性が低いと考え、1年間調査を行ってきました。
 昨年6月と8月に2度現地調査を行い、観光資源の現状について調査しました。その結果、春には千財農園のフジやバラ、夏には和間海浜公園や岳切渓谷、秋には千財農園の秋バラ、冬には雪景色が美しい宇佐のマチュピチュといった、春夏秋冬で移り変わる観光資源が多いことがわかりました。また、宇佐市だからこそ感じることができる食の魅力も知ることができました。さらに、調査を通して、宇佐神宮周辺に多くのお洒落なカフェを見つけることもできました。これらの観光地や飲食店に訪れて感じたことや「もっとこのようにすればよいのに」と感じたことをまとめました。そして、これらの魅力的な観光地をハッシュタグ機能や位置情報機能が充実しているインスタグラムを利用して、多くの人びとに発信できるのではないかという提案を行いました。
 2度目のフィールドワークの際に、観光協会と市役所の方々に聞き取り調査にご協力いただきました。また、私たちが調べてもわからなかったことや地元の方々だからこそ知る穴場の観光地など、多くのことを教えていただき、改めて宇佐市の魅力を知ることができました。さらに、今後の観光についてなど、貴重なお話を聞かせていただきました。
 今回の現地報告会にもお集まりいただき、本当に感謝しています。何よりも嬉しかったことは、若者からの視点にたくさん山興味を示していただけたことです。「これは私たちだったら思いつかなかったよ」と何度も言っていただけたことです。1年間の調査の甲斐があったと、とても思いました。私たちの調査が少しでも宇佐市の観光に役立てば嬉しく思います。今後も大分県宇佐市の魅力が多くの人に伝わってほしいです。また、今回の調査では運が悪く、訪れることのできなかった場所がいくつかあるので、今後ゼミ生で訪れる機会があればいいなと思っています。

自分の自信につながった成果報告会
 国際観光学部4年 世木杏佳

 3月28~29日にかけて、私たち森重ゼミ4年生(当時3年生)の10名は、大分県宇佐市の観光協会と市役所の方々に、1年間のフィールドワークでの調査結果と今後に向けた提案をさせていただきました。
 宇佐市は、観光地で有名な別府市と由布市に隣接しているにもかかわらず、観光客の回遊性が低いことがわかりました。そこで、6月と8月に2度フィールドワークを行いました。宇佐市の観光施設や自然、飲食店など、グループに分かれて周りました。今回の報告会では、前回訪れた観光施設や自然、飲食店などの率直な意見や「ここを変えるともっと良くなるのではないか」といった改善点や改善方法の報告、実際に訪れてみてわかったことですが、宇佐市には若者に人気が出そうなカフェが多くあることをまとめました。そこで、SNS世代の若者に一番満足度の高いインスタグラムに着目し、若者や観光客にインスタグラムを使って、宇佐市で撮った写真を投稿したくなるようなポップの作成の提案を行いました。また、ハッシュタグ機能を利用することでより投稿を見やすくし、宇佐市の魅力をたくさんの人びとに自動的に発信することができ、それによって宇佐市の観光客の回遊性を高められる可能性があることから、オリジナルのハッシュタグも提案しました。
 報告会にあたって、自分たちの考えた提案がどのように感じ取られるのか不安なところもありましたが、観光協会や市役所の方々から「すぐにでも始めることができ、コストもかからないので、ぜひ実践したい」というお声をいただき、ホッとしたことと同時に、頑張ってきてよかったと感じました。
 宇佐市に実際に訪れてみて、写真映えしそうなスポットや四季によって違った楽しみ方ができるスポットがたくさんあるにもかかわらず、あまり知られていないことがもったいないと感じました。私たちが提案したポップを見て、もっとさまざまな方々に宇佐市の魅力を発信していただけたら嬉しく思います。また、観光協会や市役所の方々には、毎回貴重なお時間を割いていただいているうえに、たくさんのお話を聞かせていただき、感謝申し上げます。今回の私たちの活動が少しでも宇佐市の観光に役立てることができればいいなと感じています。ゼミ活動を通じて知らなかった地域に訪れ、たくさんの学びの場を与えていただき、貴重な経験となりました。フィールドワークだけでなく、普段のゼミ活動の中でも学ぶことはたくさんあり、すべてが自分自身の成長、また自信につながったと感じています。ゼミで学んだことを今後の活動にも活かせるよう精進していきたいと考えています。

全員で取り組んだからこそ得られた達成感
 国際観光学部4年 難波里紗

 私たち森重ゼミは、宇佐市に来る観光客の滞在時間をどのように延ばすかについて研究してきました。その研究成果を宇佐市観光協会と宇佐市役所の方々に発表するため、3月28日から29日の1泊2日で宇佐市へ行きました。そして、観光協会での発表以外の時間は、これまで訪れたことのない場所へ行き、宇佐市での滞在を楽しみました。今回はそのことについて報告します。
 1日目は、大分空港に着いてから中津市にある大貞公園に行き、お花見をする予定でした。桜はたくさん咲いていましたが、あまり良いスポットを見つけることができず、お花見をした時間はわずかでした。しかし、とても天気が良かったので、公園に来ていた子どもたちと触れ合いました。また、夜は由布院温泉へ行き、露天風呂に入りました。古民家のような外観がとても印象的でした。大分県は温泉で有名な土地であるため、今回行くことができ、とても嬉しかったです。
 2日目は、午前中に香下ダムへ行きました。そこへ向かう道中で、道沿いにたくさんの桜が咲いていて、とても綺麗でした。香下ダム付近の桜はまだあまり咲いていませんでしたが、地元の方が「もう少ししたら満開になるよ」と教えてくださいました。その地元の方から「どこから来たのか」と聞かれ、大阪から来たことを伝えると、とても嬉しそうにされていました。その後、八幡ふれあいの郷でバドミントンを行いました。体育館を貸し切り、チームに分かれてトーナメント形式でダブルスの試合をしましたが、良いリフレッシュになりました。また、昼食ではカフェ「トランスミッター」に行きました。ここはすでに訪れたことのあるゼミ生もいましたが、私は今回が初めてでした。平日の昼間でしたがほぼ満席で、とても賑わっていました。ご飯はボリューム満点で、コストパフォーマンスがとても良いことが、人気の秘密なのかと感じました。
 宇佐市を訪れるのは今回が3回目でしたが、今まで行くことのできなかった場所に行き、さらに宇佐市の魅力を知ることもでき、充実した時間を過ごすことができました。私は半年間、海外留学をしていたので、ゼミでのすべての話し合いに参加することはできませんでしたが、最後まで全員でやり遂げられたことに嬉しく感じます。1年間話し合いをする中で、時には意見が出ないこともありました。しかし、全員で取り組み、自分の意見だけでなく、他のゼミ生の意見を聞くことで、考える幅を広げることもできました。そして、ただ話し合いをして課題を解決しただけでなく、チームとして取り組むことの大切さや達成感を味わうことができました。今後はゼミ活動で得たことを、社会に出た時などに活かしていきたいです。

私の財産になった1年間の研究活動
 国際観光学部4年 後田風佳

 3月28日から1泊2日で、大分県宇佐市に研究成果の報告へ行きました。私たちは、観光客の増加を目的とし、宇佐市役所と観光協会の方々への聞き取り調査と現地調査を行い、課題整理や地域の魅力探しなどの取り組みを1年間行ってきました。その成果をお世話になった市役所と観光協会の方々に発表するために宇佐市を訪れました。その結果、市役所と観光協会の方々に高い評価をいただくことができ、ホッとしました。
 今回は成果報告の他に、市役所と観光協会の方に勧めていただいた桜のスポット「香下ダム」へも行ってきました。穴場のせいか人も少なく、静かな場所でしたので、ゆっくり桜を見ることができました。香下ダムには「桜のトンネル」という場所があるらしいのですが、訪れた時にはまだ咲いていなかったので、残念ながら見ることができませんでした。また、当日は天気が良く暖かかったので、大貞公園にも行き、みんなで桜をバックに写真を撮ったり、地元の子どもたちと遊具で遊んだり、広場で「ケイドロ」という子どもの頃によく遊んだ遊びをして過ごしました。久しぶりに全力で走ったのですが、体力の低下に年齢を感じてしまいました。その他にも、体育館を借りてチーム戦のバトミントンをするなど、今回は身体を動かすことが多かったです。
 さらに、今回私たちがずっと訪れたいと楽しみにしていた、湯布院にも行きました。湯布院と言えば温泉と言うことで、「別荘 牧場の家」の大露天風呂に入りました。ここは脱衣所と風呂が同じ空間にあり、景色も良く、解放感が漂う露天風呂でしたので、時間を忘れてゆっくり過ごすことができました。宇佐市には今回含めて3回訪れましたが、毎回行く時期が違ったので、四季折々の宇佐市を見ることができ、楽しかったです。
 今回のフィールドワークで一連の研究が終わりました。ゼミ生みんなでフィールドワークの地域を決め、その地域の研究課題を探し、1年間毎週約6時間にも及ぶゼミの時間を過ごしながら、議論が進まなかったり、課題整理がうまくいかずに行き詰まったりすることも多くありました。大変な思いをした時期もありましたが、みんなで1つの課題に取り組み、意見を出し合いながら、一つ一つ課題を解決していくことにとてもやりがいを感じました。いま振り返ると、議論が進まず、意見が出し合えない状況を変えようと、みんなが教室の中央に集まり、床に座って話し合っていた頃が懐かしく、良い思い出です。この長く話し合った経験と宇佐市でのフィールドワークを通して良い研究ができたこと、またゼミ生の仲が深まったこと、最後までやり遂げることができたことが、私の大学生活での大切な財産になりました。