ハイパフォーマンスITサポートプロジェクトとは?

総合情報学部が始動する「ハイパフォーマンスITサポートプロジェクト」では、最新技術のシステムを活用してスポーツデータ分析を行い、アスリートやスポーツチームのパフォーマンスを最大限に引き出すためのトレーニングを提案していくものです。
このプロジェクトでは、データ分析の専門知識を持つ総合情報学部教員と、その教えを受ける学生が協力し、実践的なスキルを磨きながらアスリートをサポートしています。

— 個々の特性を徹底的に調べ、各々にあった科学的な根拠に基づいたトレーニングと戦術の提案を行います。
 

プロジェクト開始の経緯

近年、アスリートやスポーツチームにおいて、動作解析によるパフォーマンス向上への関心が急速に高まっており、アスリートからのニーズも増えています。 本学部では、このニーズに応えるべく、スポーツ動作や生理指標の正確な測定と評価を行うカリキュラムを用意しています。これにより、学生はアナリストや指導者としてのスキルを身につけ、将来的にはスポーツ関連企業やチームでの活躍が期待されます。 さらに、スポーツ関連企業においても、科学的なアプローチに基づいた製品開発の需要が高まっており、バイオメカニクスや生理学のデータを活用して商品開発を進めることが可能です。 本プロジェクトにおいても、このように企業との連携や共同連携することも想定しており、学生の実学教育に大きな効果をもたらすことを期待します。

モーションキャプチャーシステムによるスポーツ動作の3次元計測

モーションキャプチャーシステムとは?

モーションキャプチャーシステムは、ヒトや物の動きを3次元的に計測する技術です。スポーツ動作中の位置や姿勢、速度、加速度などのデータを3次元計測することで、高速なスポーツ動作を詳細かつ正確に測定できます。本学に導入される光学式モーションキャプチャシステムは、測定精度が極めて高く、スポーツ動作の3次元計測のゴールドスタンダード手法として認知されています。

どのような場面で活用されるのか?

スポーツ動作の改善や障害予防、あるいはスポーツ用品との相互作用を理解することに役立ちます。 測定されたデータは、パフォーマンス改善や障害予防のための客観的な見通しを与えます。これを活用することで、トレーニング計画の立案や、より良い商品開発に活用できます。 現在、モーションキャプチャシステムを利用して、学内のアスリートの動作測定や、ランニングシューズとスポーツ障害の関係を検証する研究や、屋内用フットウェアの性能テストといったプロジェクトを想定し、準備をすすめているところです。

阪南大学では、トレーニングルーム内の一室を最先端のモーションキャプチャー専用スペースとして整備し、研究やトレーニングの際にいつでも精密な動作解析が行える環境を整えています。この設備により、アスリートのパフォーマンス向上やリハビリテーションの効果測定、さらには動作解析を活用した新たなトレーニングプログラムの開発が可能となっています。

また、屋外においても簡易的に計測が行える設備を取り揃えており、より実践的な環境でのデータ収集が可能です。これにより、競技場や実際のプレー環境に近い状況での動作分析ができ、より実践的なフィードバックを得ることができます。貴重な学びの場として、スポーツ科学の発展に大きく貢献してまいります。

Dartfishによる戦術分析

Dartfishとは?

Dartfishは、スポーツの試合やトレーニングの映像を解析し、選手の動きやチームの戦術を評価するための映像分析ソフトウェアです。試合中のプレーやトレーニングシーンを動画として捉え、重要な場面をスロー再生やハイライト表示することで、戦術的な分析やプレーの評価を行います。

画像は商業施設・ららぽーと堺において、Dartfishを利用したイベントを実施した時のものです。商業施設に来館している、子どもに立ち幅跳びをしてもらい、それらを計測する。跳ぶ姿をDartfishで計測をして、学生たちが子どもに跳ぶ際の手の角度や足の踏み込み位置といった改善点を伝える。そして、次の計測では記録が伸び、自己最高記録を作ってもらうというイベントで、まさしくデータでスポーツを革命するといった企画でした。

Dartfishがもたらす戦術的優位性

Dartfishを使うことで、選手やチームの戦術面での課題が明確になります。例えば、ポジショニングの改善や攻守の切り替えのタイミングなど、チーム全体の連携や個々のプレーの効率を分析できます。これにより、アスリートやコーチは試合の映像を通じて具体的な戦略を立てやすくなり、次の試合に向けた準備がよりスムーズに進みます。
阪南大学サッカー部の練習を計測したもので、選手の走る速度などが明瞭にわかる。

教員と学生の役割

このプロジェクトでは、データサイエンスやスポーツデータ分析を専門とする教員が、プロジェクトの中核を担っており、教員はデータ分析や技術の使い方を指導し、学生はその指導の下で実際のデータ解析や提案作業を進めます。学生はこのプロジェクトを通じて、現場での経験を積み、自分のスキルを磨くことができ、将来のキャリアに繋がる大きな学びの場となっています。
 
総合情報学部の「ハイパフォーマンスITサポートプロジェクト」は、最新技術を駆使して、アスリートやスポーツチームのパフォーマンス向上を目指す革新的な取り組みです。これらの技術と、教員と学生が協力して進めるデータ分析の力を組み合わせることで、スポーツ分野での新たな価値創造を実現しています。

スポーツや運動に関して課題を抱えているアスリートやチーム、団体の皆様を支援しています。
記録を伸ばしたい、勝利を目指したい、さらに高みを目指すために何をすべきかお悩みの方は、ぜひご相談ください。
最新のデータ分析技術とプロフェッショナルな教員・学生チームが一丸となって、皆様のパフォーマンス向上に向けた具体的なサポートを提供します。

一緒にスポーツや運動の新たな可能性を広げ、さらなる成果を目指して取り組んでいきましょう。

ハイパフォーマンスITサポートプロジェクトメンバー教員

  • 専門競技 
    どんな相談でも!
    研究テーマ 
    トレーニング科学 コンディショニング
    参考記事 /こちら


    各種競技におけるパフォーマンス評価とそれに基づいた科学的なトレーニングの実践に取り組む。特にパワーアップやエネルギー供給能力の強化を中心に、トレーニング効果を最大化するためのコンディショニングについてサポートできることが強み。野球選手のフィールドパフォーマンスをDartifishを使った分析から評価することも行っている。
  • 専門競技 
    サッカー
    研究テーマ 
    ゲームパフォーマンス分析
    参考記事/こちら


    元プロサッカー選手としてキャリアをスタートさせ、指導者としてのやりがいを感じ、研究者の道へ。
    現在も阪南大学サッカー部の副顧問を務めており、試合はもちろん練習時にも先に紹介したDartfishを駆使して戦略を練り、強い阪南サッカーを作っている一人でもある。
  • 専門競技 
    陸上競技(短距離・ハードル)
    研究テーマ 
    スポーツ動作のバイオメカニクス分析


    各種スポーツにおける優れたパフォーマンスを発揮する背景や、障害予防に必要な要素を解析するバイオメカニクスを専門領域としている。特に「走る」「跳ぶ」といった動作を専門としており、これまでプロスポーツ選手への指導や、動作解析を活用したトレーニング計画の立案を行ってきた。
  • 専門競技
    ダンス
    研究テーマ
    身体育成法、身体表現、動作解析、舞踊創作法


    身体を媒体とした表現運動に関する表現技法や創作法について研究を深めている。特に多様化するダンスの身体育成を専門とし、動作解析からダンサーの動きを可視化し、基礎的な動作によるトレーニング法や創作法について指導を行っている。ダンスを「創る」、「踊る」、「観る」という舞踊の創作と実践とともにダンスを科学することを通じて、ダンスの世界と関わる方法を探求している。
  • 研究テーマ 
    3次元計測、3次元処理、画像処理、センシング


    最先端の情報通信技術を活用したアプリやシステムの開発・提案を行っている。これまでに多くの企業案件や国家プロジェクトから依頼を受け、数々の実績を積み重ねてきた。特に、モーションキャプチャをはじめとする本プロジェクトで使用する機器のコア技術である3次元計測、画像処理、センシングにおいて高い専門性を持ち、多数の成果を上げている。本プロジェクトでは、機器やシステムなど技術面からの支援を担う。
  • 研究テーマ 
    医療情報学、データ構造の解析



    データ分析はさまざまな分野で重要な役割を果たしており、モーションキャプチャーのような時系列データの解析は、詳細に行うほど困難になることがある。しかし、複数の時系列データを組み合わせることで、グレンジャー因果性を発見したいといったモチベーションから、今までにない事象を解明できる可能性がある。本プロジェクトではこうした学術的な解析から、日常生活を支援する実用的な取り組みまで幅広くサポートする。