2024年度海外インターンシップ ベトナムクラス

 2024年度海外インターンシップ ベトナムクラスの14名が、9月16日(月)にホーチミンから関西空港に無事帰国しました。
 日本では得難い様々な経験を積むことにより、一回り大きな人間となって帰国したと思います。今後、何回かに分けて参加学生の感想・気付きを紹介します。今回はその第6回となります。

経済学部3年 木村 優耀 さん

 私は、8月16日から9月16日の1ヶ月間、ベトナムでインターンシップに参加しました。このインターンに参加した理由は、海外での仕事を経験してみたいという思いと、ベトナムに行ってみたいという2つの思いからです。また、インターンシップ参加の際には「参加者の中で最も成長したと周りに感じてもらいたい」という目標を掲げて臨みました。以下に、このインターンシップで感じたことや学びについて報告します。


1.ベトナムでの環境
 日本と比べて、過ごしにくいと感じる点がいくつかありました。まず、気候です。毎日が猛暑で、汗が止まらない日が多く、スコールも頻繁にありました。特に、夕方の退勤時に降ることが多く、17時~20時の間に突然の豪雨に見舞われることがありました。道路のインフラも日本ほど整っておらず、悪臭が漂う場所や舗装が不十分な道路も見かけました。交通ルールもあまり整備されておらず、車間距離が非常に近いことから、日本の生活環境のありがたさを改めて実感しました。
 一方で、ベトナムには過ごしやすい部分もありました。物価が非常に安く、カフェの数も多く、クオリティも高い上に価格も手頃です。しかし、路上でブランド品の模倣品を売りつけようとする人々が多く、執拗に迫られることがありました。加えて、移動手段として利用したGRAB(タクシーアプリ)は非常に便利で、日本に帰国後、その利便性が恋しく感じるほどでした。

2.インターンシップの内容
 私はGOENビジネストレーニングという会社でインターンシップを行い、福岡県の西南学院大学や東京の上智大学の学生と共に活動しました。この会社は、企業に対して人材育成の研修プログラムを提供しており、私たちは主に日系企業のベトナム人従業員を対象とした無料のオンライン診断を提供する業務に携わりました。この診断を利用してもらうための戦略やアイデアを考え、提供していく中で、どのようにすれば多くの企業に使ってもらえるかを日々模索しました。

3.インターンシップで学んだこと
ベトナムでのインターンシップを通して、以下の3つの重要な学びがありました。
1つ目は、「客観的視点を持つこと」です。上記の無料のオンライン診断を提供する前に、お客様にどうしたらお客様が利用していただけるのかを考えてから提供するという方針を決めました。そこでモノやサービスを提供するときは主観的視点で考えるのではなく、客観的視点で考えることを学びました。客観的視点で考えるとは、例えば「弊社にはこのようなモノ・サービスがありますよ。」ではなく、「御社ではこのような課題を解決したいとお考えではありませんか。」のように相手に寄り添うような考え方をすることが、客観的視点で考えることです。これは企業に対してなにかを提供する基本的な考え方です。また後者の例文のような課題がある前提で話すこともしてはいけません。言い換えると「このような将来を見据えられていると私たちは考えております。」のような言い方だと相手に課題がある前提ではありません。客観的視点で考えることが重要だと感じました。また、客観的視点で考える観点から、相手がどうなりたいのかを考えて売ることも重要だと学びました。まずお客様はモノやサービスが欲しいわけではありません。モノやサービスを経た結果であったり、何かしらの理由があったりします。例えば殺虫剤が欲しい人がいます。その人はただ殺虫剤がほしいわけではないと推測できます。この人は虫を退治したい、虫のいない環境を作りたいという理由・結果があると考えられます。このようにお客様がこのサービスを利用してどうなりたいのかを考えることが重要です。私たちの業務で考えると、この無料オンライン診断によるベトナム人教育のための教材の提供や、無料オンライン診断の結果からベトナム人のスタッフの強み・改善点が可視化できるところです。相手の背景を想像し、どうなりたいかを考えて伝え方を考えるべきだと学びました。
 さらに結論→理由→事実の順序で相手に伝えることを学びました。どれだけ準備をして作ったとしても相手に伝わらなければ意味がありません。受け取る側の視線に立ち何を伝えるのかを明確にし、わかりやすく伝えることが重要です。わかりやすく伝えるために結論から伝えると何を伝えたいのかが明確になることを学びました。そこから準備した論理を伝えていきます。またこの論理も大切です。「なぜ。」という縦の論理(理由付け」)、「他には。」という横の論理(補足や追加情報)と言われるものがあります。相手がなぜこれをつかえばこのような結果になるのか、他には何があるのかという不安を打ち消していきます。ここから相手が満ちる状態になり、信頼に直結します。相手に伝える時は何を伝えるかを明確にさせ、縦の論理・横の論理を満たしわかりやすく伝えることを学びました。
 2つ目は、「ロジカルシンキング」です。ロジカルシンキングは論理に基づいて筋道を立てて考え、問題を合理的に解決する思考法です。上記で出てきた、縦の論理・横の論理や、顧客はモノやサービスが欲しいわけでないという考え方もロジカルシンキングです。このロジカルシンキングが非常に大切な知識だと感じました。このことから自分の経験だけではなく、他者が経験したことや知識をアウトプットして身に着けていく、これが最短距離で成長につながると学びました。インプットするだけでは身に着けていくだけです。発揮しないと意味をなさないと感じました。またロジカルシンキングはポータブルスキルとも言われます。どこにいっても役に立つ知識をポータブルスキルと言います。仕事だけでなく私生活や、就職活動など様々な場面で活用ができます。
 3つ目は、「振り返りの重要性」です。目標を設定し、それに対して取り組んだ過程と結果を振り返ります。これが非常に重要だと学びました。振り返りをするうえで大切なことは可視化することです。パソコンで書く、ノートに書く、このように目に見えるように残しておくことが振り返るうえでのポイントです。記録しておくことで見返すことができます。過去から「なんで」、「どのように」変わったのかが明確にわかります。振り返りをすることとは過去と比べることができ、得られることがあるので重要だと学びました。

4.まとめと感想
 今回ベトナムインターンシップに参加して多くの学びを得ました。仕事をするうえで何が重要なのかを知ることができて非常にいい経験になりました。相手視点で考えること、知識を身につけ発揮すること。結果はどうだったのかを振り返ること。この学びは、多くの人ができるのに実行していないと感じています。日頃から意識的に行い、これを当たり前にできるようになります。インターン生として受け入れながらも正社員として1ヶ月間対応して頂いたGOEN様に非常に感謝しています。
 またこのベトナムインターンシップは迷っているなら参加するべきだと感じました。ここまでの経験ができるとは想像をしていなかったからです。ここで得た経験は大きくも小さくも何か変化を自身にもたらすと感じています。漠然としたきっかけでいいので、何か変化をしたい人は参加するべきプログラムだと感じます。

国際コミュニケーション学部 3年生 中野 花蓮 さん

1.ベトナムインターンシップ参加の動機
 私は、将来の具体的な夢やキャリアプランが明確ではないため、さまざまな経験を積むことで自分の適性や興味を見つけたいと考え、今回ベトナムでのインターンシップに参加しました。また、異なる文化で生活をしながら、異文化環境における日系企業での実務経験を積むことで、自己価値を高め、国際的な視野とビジネスに対する視野を広げたいと考えたのが動機です。

2.業務内容
 Daiichi Central Vietnamでのインターンシップ期間中、私は主に以下の業務にあたりました。
① テレアポ業務
 日系企業に対して電話を通じてアポイントメントを取得する業務に取り組みました。テレアポでは、ベトナム人から日本人に繋げてもらわないといけないのですが、ベトナム語が話せないため、英語での電話によるコミュニケーションが予想以上に難しく感じました。
 また、ビジネス慣行や文化の違いで、ベトナム人は理解できないと感じると即座に電話を切る傾向があり、それによってメンタル面でのダメージを受けました。しかし、相手に理解を促すため、積極的に英語でのコミュニケーションを図る努力をし、日本人に繋げてもらうことに成功しました。日本で通用する方法が必ずしも現地で同様に通用するとは限らないという点に気づかされました。

② 企業訪問
 実際にアポイントメントを取ることができた日系企業を訪問し、各社の担当者と面談する機会を得ました。これにより、顧客の話を聞きながら情報収集をし、顧客のニーズに合った提案をすることの難しさを学んだと同時に、現地市場の特徴や企業が直面する課題や成功事例について学びました。特に印象的であったのは、現地従業員とのコミュニケーションの重要性です。日本本社と現地従業員の間に存在する文化的な違いをいかに上手につなげることができるかが、ベトナムで就業する際に一番大切なことだと感じました。

③ 工場見学
 いろいろな訪問先で、「インターン生だから特別に」と工場見学をさせていただきました。現地における製造現場の視察を通じ、日本企業の品質管理や効率化への取り組みを学びました。日本の厳格な品質基準を維持しながら、現地の従業員を育成しつつ業務を進めている様子は非常に興味深く、日本企業が現地経済にどのように貢献しているかを実感することができました。

3.印象に残った出来事
 インタ—ンシップ期間中、特に印象に残った出来事として、エースコックベトナムへの訪問があります。エースコックはベトナムにおいてトップシェアを誇る企業であり、その成功の背景を学ぶ貴重な機会を得ました。
 エースコックがベトナム市場で成功を収めた要因は、現地の食文化に適応した商品開発と、日本の品質基準を厳守した生産管理にあります。ベトナムでは、朝ごはんに麺類を食べるほど、即席麺が日常の食文化に深く根付いており、消費者のニーズに応じた製品展開が行われている一方で、日本の高品質な生産基準が維持されていることが消費者の信頼を得る大きな要因となっています。工場見学を通じて、現地従業員が日本の品質基準を守るためにどのような教育やトレーニングを受けているのかを直接目にし、日本企業の徹底した品質管理への取り組みに感動しました。

4.失敗から学んだこと  連休中の旅行の最終日に、飛行機に乗り遅れてしまい、翌日からのインターンシップに遅刻してしまいました。クアラルンプールからホーチミンへ戻る際、時間管理ができておらず、フライトに間に合いませんでした。
 この失敗により、時間管理の重要性を改めて痛感しました。特に、予測できない事態に対処するためには、より余裕を持った計画が必要であることを学びました。また、国際的な環境では突発的な問題に柔軟に対応する能力が求められることも実感しました。この経験以降、スケジュールには余裕を持たせ、臨機応変に対応できるような計画を心がけるようになったとともに、社会人としての自覚を持つようになりました。

5.まとめ
 今回のインターンシップを通じて、異文化の中で日本企業がどのように事業を運営しているのか、そしてそれぞれの業種の現地市場に適応するための戦略や工夫を学ぶことができました。特に、ベトナム人の文化やビジネス慣行を尊重しつつも、日本企業の強みである品質管理を維持することが、成功の鍵であると感じました。また、企業内でのコミュニケーションの重要性、そして文化的な違いをどのように克服するかという課題にも深い理解を得ることができました。
 また、もともと営業は就職したくない職種だと思っていましたが、実際に業務を体験してみると楽しさを感じ、営業が選択肢の一つになりました。顧客とのコミュニケーションやニーズを把握することが思った以上に面白く、相手に信頼される喜びを実感しました。
 まだ具体的なキャリアプランは定まっていませんが、今回のインターンシップで得た経験や学びを活かし、今後もさまざまな分野で挑戦を続けていきたいと考えています。今回の経験を、将来の自己成長やキャリア形成において役立たせていきます。

経済学部 3年生 矢田 幸慈 さん

 今回、私は8月16日から9月16日までの約1か月間、ベトナムインターンシップに参加しました。そして、このベトナムインターンシップに参加した理由は2つあります。まず1つ目は、肌で海外を感じたいと考えたからです。私は海外経験がなく、日本でしか生活をしたことがありませんでした。そして、今回このインターンシップで、私自身を厳しい環境に置くことで、私自身の視野を広げることや、少なからず成長に繋げられると感じたからです。2つ目は、これから本格的に始めていく就職活動に対して、何か行動を起こしたいと考えたからです。
 私がインターンシップで参加させていただいたのはNASK Co.,LTDという会社でした。この会社は、日本製浄水器やシャワートイレ、空気清浄機などの水回りの衛生管理商品をメインに取り扱っています。そして私が行った仕事内容は主に2つです。1つ目は、日本語を少し話せるベトナム人スタッフに同行し、浄水器の設置などの手伝いと、ZALOオフィシャルアカウント加入促進でした。加入促進について私が準備したことは、日本語と簡単な英語でZALO加入のメリットを口頭で説明できるようにすることです。QRコードを記載したカードを渡すだけでは、相手は追加しようとしないと考えたからです。実際に同行した数は多くはなく、ベトナム人顧客が大半だったこともあり、私が説明することは少なかったですが、日本人顧客の対応は何度か行い、3人ほどZALOの登録を促すことが出来ました。促す際も、唐突に紹介するのではなく、相手に自分を知ってもらうと聞き入れてもらいやすいと感じたため、訪問時からコミュニケーションを取り、世間話も交え、最後の方に紹介すると、自分も話しやすい環境になり、相手も聞いてくれやすくなりました。
 2つ目は、私がメインとなり、塩素除去浄水器やナノバブル生成アダプターが、美容院やサロンに必要ないのか、という調査と商品紹介を行い、それらの調査がどういう結果になったのか報告するという、100%営業でした。NASKの美容院系への活路はあるのかという探りの部分を担当させていただき、緊張感や責任感を感じながら一か月間体験することが出来ました。この仕事の中で難しかったことは、まず営業していくにあたって何をしていけば良いのか分からないということです。そこで私は、まず美容院がどれほどあるのかを知り、ターゲットを絞っていこうと考えました。私は、英語もベトナム語も話せないため、日系の美容院をExcelにまとめ、営業していくことにしました。そして、営業といえばアポ取りが必要だと考え、メールでアポ取り連絡していくことにしました。そのアポ取り連絡も、受け取り側は自分が学生だと知るわけがないため、1社会人として自覚を持ち、無礼のないようビジネス文書を調べながら、メールを送っていきました。そこからメールでアポ取りを行い、営業に進むかなと考えていましたが、それは甘い考えでした。手始めに4件ほどメールを送っていましたが、1件も返事はありませんでした。この調子では1件もアポ取りできないかもしれないと感じ、短い期間しかない私はアポなし訪問で営業回りしていくことにしました。そして営業で回るためには、台本が必要だと学びました。私は人と話すことが得意と感じていた為、ある程度商品について知っていれば話せると考えていましたが、それでは全然うまくいきませんでした。まず、突撃訪問は私が考えていた以上に緊張するもので、いつも通りに話すことが難易度の高いことでした。そこで社長に相談したりし、台本を作ることにしました。細かな話は相手も人であるため、臨機応変する必要がありましたが、台本を作ったことで、伝えたいことは伝えきることが出来ました。そしてこれが出来るようになった時、また難点に直面しました。相手が私の話を聞き、気になった点を質問するようになり、それに詳しく答えきれないということがありました。その為、私は商品について細かく知る必要があると感じました。商品の値段や、フィルター交換の値段、設置方法など調べていくことにしました。その結果、相手の質問に答えられるようになり、商品のお試しをしてくれるところまで持って行けた美容院もありました。
 この約1か月間のインターンシップを、私は何事にも挑戦をするという目標を持ち過ごしていました。初めは営業といわれ、何をすべきか全くわからない状態でしたが、営業において大事な点を自分で感じ、学ぶことが出来ました。また、結果は12件訪問で、3件が商品のお試しを行ってくれました。目標は販売まですることでしたが、それは達成できず悔しい結果となりました。1か月間でまだまだ自分は未熟者だと痛感しました。しかし挑戦することの大切さや、楽しさも経験できました。今後の人生でも挑戦を続けていきたいと考えています。

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